内容説明
本書は、ブラジル南部、ことにサンパウロ大都市圏の日系マイノリティ集団における宗教とエスニシティの諸相とその変動の在り方を、主として1960年代、70年代に力点を置いていくつかの宗教集団の事例研究をとおして記述している。
目次
エスニシティを祀る―ブラジル日系人の宗教と社会
多民族社会とブラジル―人種と文化のるつぼ?
ブラジル日系人における分裂と統合―エスニシティとアイデンティティの問題
千年王国論(ミレナリズム)としてのカチ組の成立
移民・家族・墓―ブラジル日本移民を中心に
神道
大本教
ブラジル生長の家教会〔ほか〕
感想・レビュー
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うえ
6
1915年、ブラジルに移民した日本人達はモトゥカの低湿地を購入して米作を始めた。「低湿地での米作はマラリア等の悪疫・風土病との闘いでもあり、初期の入植者らは資本もない農機具もない徒手空拳の開拓に苦労した。犠牲者も多く出、人々には不安と焦燥が募った」局面打開の為、長崎出身の馬場直はキリスト教徒ながら神社の建設を創案。慰霊と植民地守護の氏神として「東京植民地神宮」を17年頃に建立、伊勢の神を勧請。祭典日には植民地や学校も休んで神前相撲をしたという。これが神道上の神社に当たるかは難しい問題だと著者は述べている。2020/04/27