内容説明
南北戦争に敗北し、日本と同じようにヤンキーに屈辱的に強姦された誇り高き南部人の歪んだ妄念とむなしい希望の世界を描いた作品として見れば、フォークナー文学は明快に解明できるとする著者の観点は、従来のフォークナー論と決定的に対立する。独自の視点で幻想の呪縛を解く。
目次
第1章 自己消滅の恐怖からの逃亡―民族強姦と処女膜幻想
第2章 ピューリタニズムと性のアイデンティティ―『八月の光』考
第3章 瀕死の花、瀕死の秩序、瀕死の「男」『サンクチュアリ』考
第4章 旧南部衰亡の「失楽園」神話化 1『響きと怒り』考
第5章 旧南部衰亡の「失楽園」神話化 2『アブサロム、アブサロム!』考