内容説明
魚が死ぬ…。ひとは何を得んがために何を失わなければならなかったのか。水に対する意識構造の変化を湖岸の生活史に探る、「方法としての環境史」。
目次
序章 琵琶湖のイメージ―蛇女房・目の玉型考
第1章 水と村―琵琶湖治水史
第2章 水界と漁撈―農民と漁民の環境利用の変遷
第3章 漁場相論―簗の漁業史
第4章 浜の開発―村主導の開発をめぐる二つの論理
第5章 川と水道―水と社会の変動
第6章 水利用の変化と水のイメージ―湖岸域の水利用調査より
第7章 川と井戸と湖―湖岸集落の伝統的用排水
第8章 生活排水のゆくえ―湖岸部の下水道問題
補遺 琵琶湖の人工島・矢橋帰帆島
補論 方法としての環境史
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nさん
2
琵琶湖周辺でのフィールドワークから「水と人」を取り巻く環境を丹念に調べた労作。本書はその地域に暮らす住民の意識に着目する。水と人とが、長い年月をかけて形成してきた生活規範が、近代化(上水道利用)を契機に失われつつある。筆者らは技術だけでも自然保護だけでもない、生活者の知を大切に、その地域の固有性を環境政策に活かそうと提案する。そのメッセージは、後に環境社会学の考え方の一つとなる「生活環境主義」を生み出す。自然科学とは異なる社会科学の理論に問われるものは、研究における主観性、事実の並存性への意識だろうか。2018/12/09
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