内容説明
井上毅の傍らには、ドイツ人ロェスラーがいた。明治憲法の真の起草者は、ロェスラーであった。ロェスラー草案は漏洩し、『西哲夢物語』と題して秘密出版された。時を経て、ロェスラー研究は、吉野作造から鈴木安蔵に継承される。明治憲法起草史における最大の謎に挑む、著者渾身の問題提起。
目次
第1章 伊藤博文と明治憲法―憲法制定におけるドイツ人の寄与
第2章 憲法発布直後の伊藤博文―大赦・義解・欧米
第3章 ルドルフ・フォン・グナイストの憲法講義―「グナイスト氏談話」を読む
補論 シュタインとは誰か―瀧井一博『ドイツ国家学と明治国制』に寄せて
第4章 ヘルマン・ロェスラーと明治憲法―ロェスラー研究事始め
第5章 明治憲法を起草したドイツ人―ロェスラー研究の系譜
第6章 明治文化研究会の三博士―『西哲夢物語』をめぐって
第7章 吉野作造と鈴木安蔵―五つの「絶筆」をめぐって
著者等紹介
堅田剛[カタダタケシ]
1950年宇都宮市に生まれる。1975年上智大学法学部卒業。1980年明治大学大学院法学研究科博士課程修了。現在、獨協大学法学部教授、法学博士(明治大学)。専攻は法思想史・法哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Ohe Hiroyuki
3
本書は、『西哲夢物語』という地下出版本を見つけ、大日本帝國憲法の制定史を研究しようとした吉野作造や鈴木安蔵らの研究にフォーカスしつつ、大日本帝國憲法の制定にはどのような人物が関わっていたのかについて記した論考集である▼本書を通読すると、大日本帝國憲法の制定に携わっていた人々の息遣いが伝わってくるようである。伊東巳代治の憲法草案の入ったカバンが盗まれたという話や『西哲夢物語』の出版に至る経緯についての記載はやや想像力豊かな面もあるが、大日本帝國憲法の当時の位置づけも分かる参考になる本である。2022/06/26
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