内容説明
同性愛と家族とが交差したとき、そこに何が浮上するのか。スティグマを押された人を前にして、私たちは何ができるのか。親にカムアウトする子ども、子どもからのカミングアウトを「カムアウト」する親―「カムアウトする親子」の語りから、同性愛と家族をめぐる問題経験を掘り起こし、日本社会を問い直す。
目次
第1部 理論と方法(カムアウトする親子を考えるために―先行研究の検討;調査方法)
第2部 子どもが経験するスティグマと対処(友達への/からのカミングアウト―可視性をめぐるジレンマと「ot会」の実践;親へのカミングアウト)
第3部 親が経験する縁者のスティグマと対処(子どもからのカミングアウト;「縁者のスティグマ者」になる親―認識の変容と対処方法;カムアウトする親子―「虹の会」の実践;差異ある他者とどう生きるか)
著者等紹介
三部倫子[サンベミチコ]
1981年北海道生まれ。お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科博士後期課程修了、博士(社会科学)。日本学術振興会特別研究員、お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科リサーチフェローを経て、現在、お茶の水女子大学講師(研究機関研究員)、明治学院大学・流通経済大学ほか非常勤講師、専門社会調査士。専門は、社会学、家族社会学、ジェンダー/セクシュアリティ研究、社会調査法(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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K(日和)
32
博士論文の改訂版ということもあり、論拠や筋道がとてもわかりやすい。家族、親族及び友人と当事者によって相互に行われる行為である「カミングアウト」がもたらす影響を詳細に述べている。たくさんの論拠が、本文中に示されていて、本書からさらに奥に広がるジェンダー、セクシャルマイノリティ、ひいては社会学関連研究に関心がわく。「『寛容』が現代日本のホモフォビア(同性愛嫌悪)の一形態である」という鋭い指摘や、自分が行っていた行為にパッシングという名称がついていたことに対して新鮮な驚きを感じた。2018/04/07
海戸 波斗
1
対話形式の本。読み進めるのが難しい。「ありのままの自分」で生きていきたいって傲慢では?とすら思った。社会って求められる役割をお互い演じているからコミュニケーションも取れるんでしょ?家族ならどこまで受容できるのか考えさせられた。プライベートの中で、自分以外の人に迷惑をかけないのであれば「ありのまま」も良い。これが私の限界。2015/04/21
そーすけ
1
244*全国各地に「虹の会」みたいな集いがあれば良いのになぁ。2014/12/10