内容説明
超電導現象がカメリン・オンネスにより発見されたのは1911年であり、すでに1世紀が経過し、この間多くの超電導応用技術について研究されてきたが、いまだに実用化されたものはきわめて少ない。超電導発電機についても期待度が大きく、わが国においても、高エネルギー・MHD発電・核融合などへの適用について検討されていたが、実用電力機器への適用について工業技術での調査研究が行われ、超電導発電機の開発計画が策定され、1988年から12年間をかけて7万kW級の開発・実証を成功裏に終了し、世界に先駆けて確認した。この成果は世界各国から高く評価されている。本書は、この成果を受けて、発電機の基本理論を厳守しつつ、超電導技術の持つ物理的、技術的利点を最大限に活用し、在来技術・機器の導入・改善では実現しえず、かつ利用者の視点から願望し続けた高運転信頼性の達成、製造限界の打破、経済性の実現を可能とする、現時点で考えられる理想的な超電導発電機の姿を示した。
目次
第1章 超電導発電機の研究開発の背景
第2章 超電導発電機の概要
第3章 モデル機による研究開発
第4章 超電導発電機の基本設計
第5章 超電導発電機の特性評価・試験
第6章 超電導発電機の運転特性・保護・解析
第7章 超電導発電機の経済性評価
著者等紹介
上之薗博[カミノソノヒロシ]
1930年大阪府生まれ。53年愛媛大学工学部電気工学科卒業。同年四国電力株式会社入社、財団法人電力中央研究所に出向。79~82年同所電力技術研究所副所長。82年四国電力を退社し、同所参事、83年同所電力研究所長、85年理事、以降、管理部長、情報通信研究センター所長、情報研究所長、95年専務理事、99年特別顧問を歴任、2002年より名誉特別顧問、現在に至る。工学博士。燃料電池の研究により科学技術庁長官賞(研究功績者)を受賞。この間、電力系統の計画・運用・制御、新エネルギー、回転機の特性・制御・保護の研究に従事、電気学会電力賞、電気学術振興賞進歩賞(3件)などを受賞
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