目次
序論 源氏物語の発想から精神史へ
第1編 霊魂信仰よりみた物語形象論の展開(源氏物語の葬列―「車より落ちぬべう惑ひ給へば」を焦点に;源氏物語の夢の位相;影の文学;源氏物語の絵―影・絵・形・人形をめぐって)
第2編 源氏物語の作中人物造型論(源氏物語主人公造型の方法―紫上を中心にして;若紫の登場―光源氏「北山行き」の精神史;紫上の妻の座;源氏物語第2部の主題―紫上の妻の座の視角から;弘徽殿女御私論―悪のイメージをめぐって;源氏物語の醜女―末摘花・花散里の場合)
第3編 源氏物語の自然描写の精神史(叙景文学の伝統と物語の表現;源氏物語の自然描写―月光の美;源氏物語にみる雪の精神史;源氏物語の天変の構造)
第4編 源氏物語の人生儀礼(白の異空間―誕生儀礼;恋の語源;恋物語の発端;プロポーズの方法;至難な恋の成就;嫁を盗む物語;結婚の時空;恋の時空;妻たちの生活規範;長寿を祝う文学―賀歌・算賀をめぐって;息災・延命の文芸の譜)
第5編 源氏物語の研究史と研究の方法(現時点における作品分析の方法;源氏物語の民俗学的研究;源氏物語の固有信仰)
感想・レビュー
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maekoo
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民俗学的研究方法で源氏物語の表現構造を分析解明する事をライフワークとしている林田教授の本です 霊魂信仰・作中人物造型論・自然描写・人生儀礼・研究史と研究方法の五編の編建てでこれまでの論文に加筆をし新たな論文も加え再編集した480ページにわたる力作です 実際に生き返らせようと腐乱するまで死骸と共に共寝をする例等をあげてこの時代の霊に対する考え方や風習が葵上の葬送の場面での母の行動にも表れています 夢についてもこれを深く信じ夢を否定することを異常とみられた時代の夢の位置の重要さを知ります2020/08/15