内容説明
ナチ時代の歴史への証言者となることをみずからに義務づけたクレンペラーは、ナチの暴虐の荒れ狂うドレスデンにあって、いのちの危険をおかしつつ、見た、聞いた、知ったことのすべてを、書きつづった。ナチの探索の目と戦火を奇蹟的に逃れたこの日記は、ユダヤ人迫害の日常を同時代の観察者がその渦中で克明に書き残した類例のない記録として、『アンネの日記』にならぶ高い評価を得ている。ショル兄妹賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
71
ヒトラーが政権の座にあった「ナチ時代」と呼ばれる1933年から45年までの12年間に書き残された日記。著者は1933年ドレスデンにいたユダヤ教徒4675人、1945年ホロコーストを生き延びた137人の一人で、ユダヤ人の隔離政策で大学教授の職を解かれた。アーリア人の妻エファ(混合夫婦)と一緒に持ち家を追い出され、「ユダヤの家」を転々とする。外出制限、食料品の備蓄禁止、配給切符などユダヤ人に課された禁止事項に、特務隊による家宅捜索と横暴、迫りくる「強制疎開」に自身の死と無価値という考えにつきまとわれる日々。も2020/03/26
Arte
2
自分はドイツ人だという誇りを持って生きていた50代ユダヤ人言語学者の著者の、ナチスが政権を取ってから終戦までの日記。終戦後は東ドイツで暮らしていたため、日記が公開されたのは壁崩壊後で、これは一般向けに縮められたバージョンの翻訳。ヒトラーが首相になった瞬間から世の中野蛮になり、最初はみんないい加減にしろや的だったが、段々慣れていく→外交的勝利を獲得するに従って、みんなまあいいか、という感じになるが、職を奪われて年金暮らしの著者は貧しくて大変2021/01/21
浅西マサ
2
SNS等ない時代に、いまを語る今を記すのはやはり手紙に日記。ナチス政権時代に著者も含めてユダヤ人達に課せられた屈辱的な尽きる事のない責め苦の日々を記している。その中で隣人知人達が自殺、行方不明になり、戦況の悪化の果てに暮らしているドレスデンが歴史的な空襲を受ける。常に死と飢えと屈辱の中でも、著者は題名になった「私は証言する、それが私の英雄行為だ」と決意を記す。それが発見されたら、著者も夫人も実名で記されている友人達も命取りは間違いない行為だというのに。記すという事、残すという行為の意義を教えてくれた一冊。2019/02/13
ヘイ站
2
ナチス・ヒトラーの政策。ゲシュタポの蛮行。ユダヤ人に対する数々の残酷な仕打ち。ヒトラーに賛同し崇めるアーリア人。悪とは...様々なことについて考えさせられる本でした。 しかし、著者の訴えたいことの半分も理解できてないと思います。2013/03/04
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