フェルメールになれなかった男―20世紀最大の贋作事件

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  • サイズ B6判/ページ数 326p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784270006924
  • NDC分類 706.7
  • Cコード C0070

内容説明

「(フェルメールの、)ボイマンス美術館にある『エマオの食事』、ファン・ビューニンゲン・コレクションの『最後の晩餐』、…、アムステルダム国立美術館にある『キリストの足を洗う』は、みな、私が描いたんだ」なぜ、美術の専門家も、ナチスも、私たちも、まんまと騙されたのか?天才的贋作者ファン・メーヘレンの「栄光」と挫折の人生を克明に描く。

目次

プロローグ 一九四五年七月七日アムステルダム
贋作者の若き芸術家としての日々(ライオンの調教師;絵画の錬金術 ほか)
再生を企てる男(贋作者の芸術;天然ウルトラマリンの値段 ほか)
思いがけなく英雄に(究極の選択;ちょっとずれた栄光 ほか)
エピローグ ロンドン 二〇〇四年七月七日
補遺(減っていくフェルメールの作品点数;二点の“最後の晩餐” ほか)

著者等紹介

ウイン,フランク[ウイン,フランク][Wynne,Frank]
1960年アイルランド生まれ。ジャーナリストであるとともに、受賞歴を誇る翻訳家。2002年、ミシェル・ウエルベックの『素粒子』の翻訳でIMPAC賞、2005年、フレデリック・ベグベデの『世界に開けた窓』の翻訳で外国フィクション独立賞を受賞。ピエール・メロ、フィリップ・ベッソン、アマドゥ・クルマなどの翻訳も手がける。現在はロンドンを拠点にして活躍中

小林頼子[コバヤシヨリコ]
1948年生まれ。1982‐85年、ユトレヒト大学美術史研究所留学。1987年、慶応義塾大学文学研究科博士課程修了。現在、目白大学社会学部メディア表現学科教授。専門は、17世紀オランダ絵画史。著書に『フェルメール論』(八坂書房)、『フェルメールの世界』(日本放送出版協会)(以上二著で、2000年に第10回吉田秀和賞受賞)など

池田みゆき[イケダミユキ]
1972年生まれ。1976‐86年、オランダで初等・中等教育を受ける。1995年上智大学外国学部ドイツ語学科卒業。外資系コンサルティング会社を経て、現在オランダの総合人材サービス会社に勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

リョウ

7
自らの美術作品を発表しても評論家に受け入れられず、次第に贋作を発表して評論家達に一矢報いたいという気持ちが芽生えていく。贋作を作成するためには、美術品を作るための技術力だけでなく、科学的な知識、歴史的な知識も必要となる。その知識、技術を他に活かすことはできなかったのか。2015/07/01

ゆずこまめ

4
なぜ皆が本物だと信じたのか?専門家が信じたから。なぜ専門家は信じたのか?彼がどこかにあると期待していた題材のフェルメールだったから。人は信じたい物を信じるのです。2012/08/01

2
ナチスの高官、ゲーリングが自分が買ったフェルメールがメーヘレンによる贋作だったとを知って「初めてこの世に悪があることを知った」ような様子になったという話を読み、ナチを手玉にとる粋な詐欺師を想像したが実際は普通より弱くてだらしない人物。彼のダメさ加減にうんざりしつつ病的な嘘つきの記録として興味深い。しかし「芸術の価値」ってなんだろうと考えさせられた。もし絵を買うとしても評論家や画廊や制作者の決めた値段でも当てにならない。見る人が良いと思うかどうかにしか価値の根拠はないような気がしてくる。2015/04/10

羽衣伸隆

2
この本を読んだからなのか、それとも読まなくてもそう思うのか、この本の表紙の絵も含めて「偽物」とわかる気になる。よく似ている。きっと技術も確かなのだろう。でもオリジナルとは違う種類の絵に見えるのだ。実際にこの本に出ている「贋作」は「どうしてだまされるのだろう」というレベルに見えるのだが、現実は名だたる専門家が見事にだまされるのである。芸術の評価は人が決めるもの。人が完璧でないかぎり、その評価に永遠はないということか。2014/03/20

黄木 漆

1
今や世界で大ブームの寡作作家、フェルメール。彼の贋作?画家、ハン・ファン・メーレヘンの物語。贋作というよりは、捏造画家といった方が適切かもしれない。確かにハンの描いた絵画はフェルメール風。しかし、全くの贋作ではなく、フェルメールの作品に見えるよう、モチーフ、構図、色彩に注意深く選ばれた、オリジナルの作品。なぜ、ハンはフェルメールの絵を捏造しようと思ったのか。また、なぜ、多くの人はハンの絵をフェルメールの真筆と判断したのか。人は自分の信じたい事実を、真実と捉える。そんなことを思い出させてくれました。2012/11/15

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