内容説明
多様な価値観が錯綜する現代であればこそ、「市民社会・民主主義・対話」の三つは、私たち市民のすべてにとって最低限確保されるべき思想上の基準―シビルミニマムではないだろうか。いま、激震が東欧・ソ連をゆさぶり、資本主義は、狂った機械のように暴走し、その中で私たちは混迷を深めている。とすれば、いま一度、民主主義とは、あるべき市民社会とは、と問い直してみようではないか。
目次
対話・コミュニケーションの問題は現代とどうかかわるのか(コミュニケーション論の隆盛;社会主義の改革と対話の問題;論争の衰退?;日本的コミュニケーションは是か非か)
市民社会・民主主義
対話(市民社会のイメージ;市民社会の概念;市民社会の再構築;民主主義の再生に向けて;なぜ「対話」なのか)
民主主義の思想史(古代ギリシアの民主主義;ロックvsルソー;スミスの同感論;ヘーゲルと民主主義;相互承認と愛;マルクスにおける〈生産と交通〉のパラダイム;交通概念と共産主義)
いま民主主義を問う(民衆はいかがわしいか;ヨーロッパ的自由観の批判;民主主義の機構原理;いまふうの民主主義)
対話の論理と倫理(対話型のコミュニケーション;対話の論理構造;市民社会の論理学〈カント、ヘーゲル〉;市民社会の理論学〈ミル〉)