出版社内容情報
1937年治安維持法下の検閲をくぐり抜け公刊された児童書の含意とは? 出版ジャーナリストが名著を駆使して読み解いた遺著。
第1章 コペル君と視座の転換
1 吉野源三郎と『君たちはどう生きるか』
2 私の「へんな経験」と視座の転換
3 コペルニクス的転換とカント
第2章 人間の「立派さ」と「真実の体験」
1 「立派な」人とは
2 デカルト『方法序説』
3 修身教科書と『国体の本義』
4 エンゲルス『家族、私有財産、国家の起源』とベーベル『婦人論』
第3章 「網目の法則」とマルクス、エンゲルス
1 人間の志と職業
2 弁証法的唯物論の形成
3 エンゲルス『イギリスにおける労働者階級の状態』
4 現代とマルクス、エンゲルス
5 マルクス、エンゲルス『共産党宣言』
6 現代史とジャーナリスト
7 マルクス『資本論』
8 人間らしい人間関係とは
第4章 貧困と社会の発展
1 日本の貧しさをみつめた人びと
2 河上肇『貧乏物語』
3 名著の背景
4 生存権の思想と社会保障・福祉
5 「道徳の花園、学問の畑」をめざして――中江兆民『三酔人経綸問答』
第5章 挫折と自由への決意
1 人間の値打ちと英雄的精神
2 「神ノ国」の狂気
3 挫折と治安維持法
4 戦争への道――治安維持法体制
(1)精神の内面にまで介入
(2)民衆を呪縛・支配した「国体」
(3)思う壺にはまったジャーナリズムの責任
(4)欠落させてはならない“治安維持法と朝鮮人”の視点
5 未決の戦争責任とジャーナリズムの節操・未来責任
(1)治安維持法勢力の戦争責任
(2)言論の節操とジャーナリズムの未来責任
第6章 理性への信頼と期待、そして教育
1 精神の弁証法と吉野さんのメッセージ
2 体験的皇国教育史(スケッチ)
(1)根源的疑問の欠如をもたらしたもの
(2)小学校から大学までの天皇・軍国主義教育体験
3 児童文化と教養
(1)自由が禁句となるまで
(2)大正自由教育と児童文化
(3)文化、教養とファシズム
終章 コペル君の凱旋と吉野さんの視座
おわりに
吉野源三郎と橋本進 熊谷伸一郎(岩波書店『世界』編集長)
橋本進と六三年 橋本宏子
橋本 進[ハシモト ススム]
著・文・その他
内容説明
漫画作品が大ヒットした古典的名作。出版ジャーナリストが先輩編集者への敬慕の念をこめて読み解いた遺著!1937年、日中戦争開戦のさなか。厳しい検閲をかいくぐって公刊された児童向け作品で、吉野源三郎氏は何を伝えようとしたのか!?
目次
第1章 コペル君と視座の転換
第2章 人間の「立派さ」と「真実の体験」
第3章 「網目の法則」とマルクス、エンゲルス
第4章 貧困と社会の発展
第5章 挫折と自由への決意
第6章 理性への信頼と期待、そして教育
終章 コペル君の凱旋と吉野さんの視座
著者等紹介
橋本進[ハシモトススム]
1927年東京生まれ。小・中学校は神戸市。1948年中央公論社入社。『中央公論』編集次長などをへる。1972年現代史出版会編集長。1984年よりフリー・ジャーナリスト。日本ジャーナリスト専門学校講師、都留文科大学講師、日本ジャーナリスト会議代表委員、日本ペンクラブ会員として活躍。1986年には「横浜事件・再審裁判を支援する会」を創設し事務局をになう(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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