内容説明
権力に迎合しない学者の生き方。権力と時流に迎合し不信をかう学者・学問状況に民衆とともに歩む二人の碩学が歯に衣着せぬ批判を加え、ヒューマニズムに立つ学問の自立・創造を呼びかける。
目次
1 学者の生き方
2 対話―学者の社会的責任を問う
3 時代の中で
4 二一世紀の学問をになう人びとに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ががが
1
学者とはどうあるべきか、社会との関わり方でどのような点に問題があるかを建築学が専門のお二人が対談や書評を通して語る。日本の住宅問題や都市開発への苦言といったことが何度か出てくるが、その中で学者がいかに権力に迎合せずに社会的役割を果たしていくかについても述べられている。審査委員を大学教授がやることについてや、マスコミの学者に対する期待や評価についても苦言を呈している。20年前のものだが、当時も社会状況が戦前と似てきたと言われていたとは少し驚いた。拝金主義批判なども時代の雰囲気を感じる。2016/12/14
いのふみ
1
『高学歴ワーキングプア』を読んで、では学者とはどのような使命を持つ者たちなのかと思い、読んだ。学者たる者は権力に媚びず、社会が要請する研究をすべきだ、という厳しいお言葉。学者はときに社会に背を向けながら、己れの信ずる道を黙々と歩き続ける人たちだと思っていたが、「生活」のことにかまけ、要領よく生きる人たちがここにも意外に多いことに気づく。これじゃ会社員と同じじゃないか! 権威やマスコミにすり寄り、生半可な委託研究に精を出す輩がいかに多いか。2014/02/09