内容説明
日本に真の「市民社会」をつくりあげていく課題、それがいま、新世紀を目前にして前面に登場してきている。本書は、それが今日の日本と世界の社会的・歴史的要請であることを多角的に解明する。
目次
1 新世紀市民社会への日本の課題(「資本主義の自由主義的再編」の時代の市民社会―二一世紀市民社会の可能性;ポスト福祉国家政治と市民的自立)
2 企業活動の市民的監視(企業活動の市民的監視―株主オンブズマンの経験から;政治資金に対する市民的監視;従業員=市民による企業自治とその条件―ダールの経済民主主義論を題材として)
3 新世紀市民社会への世界的課題(英国における政府の「説明責任」と特殊法人;ロシア・「民主主義」的な社会への挑戦;「開発独裁」の終焉と市民社会形成への条件―試行のつづく東南アジア諸国;民族を超える「市民」の可能性)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
30
ご逝去された増田先生のご遺族のご厚意により、頂戴した高著。神谷章生 「資本主義の自由主義的再編」の時代の市民社会 で、市民社会を論ずるのは、理想郷を追い求めるような側面がある(21頁)。経済的自由主義=経済主体としての個人や組織の経済活動に対する障害を可能なかぎり撤廃しようとするイデオロギー。社会的自由主義=社会秩序を文化的、道徳的レッセフェールによって達成されると考える(26頁)。 2017/09/13
ゆう。
2
この本も題名にひかれて中古で買った本です。少し、僕には難しかったかな。 本書では、いわゆるケインズ主義福祉国家の次の社会のあり方を探究したものとなっているのだと思います。それが、市民社会論という位置づけで論じられていて、市民にはどのような可能性があるのかを問題提起しているのだと思います。 市民社会論にせよ、新しい福祉国家論にせよ、これからの資本主義の枠内でどのような社会がめざされるべきなのか、考えていく必要性を感じました。2013/09/19