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リヴァトン館〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 334p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784270104125
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

母とふたりのさみしい暮らしから、上流社会のメイドに。戸惑いつつも、優雅な生活と人々に惹かれていくグレイス。無邪気なお嬢様達、贅沢な料理、心おどる晩餐会…厳格な執事の小言も苦ではなかった。だが、迫りくる戦争で状況は激変する。慌ただしく月日は流れ、グレイスはリヴァトン館とともにたくさんの秘密を抱えこんでゆく。それが、大切なお嬢様をあの悲劇へ導く羽目になるとは知らず―。巧みな伏線と見事な筆致で世界中のミステリファンを魅了した物語。

著者等紹介

モートン,ケイト[モートン,ケイト][Morton,Kate]
オーストラリアの新人作家。夫、息子とともにクイーンズランド在住。デビュー作でもある『リヴァトン館』(原題The Shifting Fog)が2006年に母国で発表されるや、たちまちベストセラーとなった。イギリスではThe House at Rivertonと改題され、2007年にサンデータイムズ紙のベストセラー1位に。英テレビ・チャンネル4の人気バラエティ番組『リチャード&ジュディ・ショー』の夏の推薦図書にも選ばれ、ロングセラー化した

栗原百代[クリハラモモヨ]
翻訳家。早稲田大学第一文学部卒。東京学芸大学教育学修士修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Kircheis

318
★★★★☆ 下巻ではハンナが結婚し、悲劇へとじわじわ進んでいく様子が描かれる。残念ながら現代パートの物語は淡々としたままで、強いていえばアーシェラの血筋が不意打ちだった程度。 結末は最初から想像していた通りで驚きはない。必然とも言える悲劇だが、速記を読めないまま一切勉強しなかったグレイスの過ちは大きい。 作中に『Not a mystery』というセリフがあったが、正にそう思う。この作品のラストではずっと明かされていなかった秘密が明らかになるが、本当に書かれたのは謎ではない。それは人の想いそのもの。2023/12/02

*maru*

40
「本当の歴史とは、過去とは、平坦でもなければ直線でもない。輪郭などもたない。掴み所がなく、無限で不可知。そして、移ろいやすい。」戦争、結婚、ゲーム、再訪、愛と死。激動の時代の中で、誇りや己の欲望とまっすぐ向き合う女性たちの強さと弱さ、そしてその美しさに心惹かれる物語だった。上流階級の暮らしぶりや徐々にアメリカナイズされていく様子、さらに伏線の張り方や悲劇の真相までの道筋も見事だったが、現在の老いたグレイスの描き方が特に素晴らしかった。たった一つの小さな嘘と、大きな絆。今回も素敵な余韻をありがとう。2019/07/26

kagetrasama-aoi(葵・橘)

38
「リヴァトン館」下巻。貴族階級のハンナとエメリン姉妹、そしてハンナの秘密を分かち合っていた侍女のグレイス、第一次世界大戦に出征して戦死した人、生還した人、それぞれ皆の人生が重く重く胸を抉られた思いです。最後の花火の場面は光と音の中で生死がフラッシュして、忘れ難い場面です。ミステリとしては予想の範囲の謎でそれ程の驚きはありませんでしたが、当時の貴族の生活の中に居るような読書体験は素晴らしかったです。グレイスは本が大好き、特にホームズものに昏倒しています。当時の召使の階級としては異質なんでは?と思い(続く)→2023/12/12

もち

22
「そしてわたしは約束を守った。よくも悪くも守った」◆グレイスの少女時代は、戦争によって蝕まれていった。時代の激流に呑まれ、主たちは憂いを募らせていく。そして一人のメイドは、消えない罪を抱えることになり――。それからずっと、生きてきた。■彼女の人生は、美しさと残酷さに溢れていた。切なさとやるせなさを倦むほど浴びた。真相はあまりに心苦しい。読み終えた今、一方で希望も感じている。時の尊さが救いになったから。館で散った運命の煌めきは、決して消えない。2017/03/15

Small World

19
下巻はあっというまでした。物語中の人物の言葉を借りれば、「not a mystery」に集約されると感じました。この物語はミステリーではなく、ただ、安全確実ではない時代を切り取ったものなのです。ちょっとロマンスよりだと思いつつも、館を出た老女グレイスのその後が幸せであってほしいと願わずにはいられない話でした。また、この作品には、著者の後の作品でお馴染みになっていく仕掛けの原型がいくつも見られて、処女作には作家のすべてがある。という言葉をあらためて感じたのでした。2020/07/05

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