マーチ家の父―もうひとつの若草物語

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  • サイズ B6判/ページ数 381p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784270005828
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

妻と四人の娘を残し従軍牧師として北軍に加わったマーチは、激戦の合間に立ち寄ったヴァージニア州のとある農園を見て、以前ここに来たことがあるのに気づいた。20年前の春、若き行商人として訪れて長逗留したことがあり、それは美しく気高い奴隷女性グレイスとの出会いの時であり、また奴隷制度の残酷さを目の当たりにした日々でもあった。その後の歳月―マーミーとの結婚、哲人ソローやエマソンとの交流、逃亡奴隷の支援活動への加担、次々と生まれる娘たち…懐かしい思い出がマーチの脳裏をよぎる。だが、そうした思いをよそに、国を二分する戦争は彼の理想や信念を打ち砕き、運命を大きく変えていくことになる!世界中で愛された家庭小説の古典を下敷きに、豊かな想像力と巧みなストーリーテリングでアメリカの動乱の時代を生きる人々を描きあげた歴史フィクションの比類ない傑作。ピューリッツァー賞受賞作。

著者等紹介

ブルックス,ジェラルディン[ブルックス,ジェラルディン][Brooks,Geraldine]
オーストラリア生まれ。シドニー大学卒業後、シドニー・モーニング・ヘラルド紙で環境問題などを担当。奨学金を得て、コロンビア大学に留学、並行してウォールストリート・ジャーナル紙でボスニア、ソマリア、中東地域の特派員として活躍、その経験をもとに2冊のノンフィクションを執筆する。2001年に、17世紀の英国を舞台にしたYear of Wondersで小説デビュー。2006年、『マーチ家の父―もうひとつの若草物語』でフィクション部門のピューリッツァー賞を受賞した。卓越したストーリーテリングで米歴史小説界の頂点に駆け上がった新星。現在は、同じくピューリッツァー賞受賞者であるジャーナリストの夫トニー・ホルヴィッツと、息子と共にマサチューセッツ州マーサズ・ヴィンヤード島とシドニーに暮らす

高山真由美[タカヤママユミ]
1970年、東京生まれ。青山学院大学文学部卒業。日本大学大学院文学研究科修士課程修了。会社員、教員を経て翻訳者に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さつき

81
若草物語の四姉妹の父親を主人公にした物語。若草物語というと、貧窮の中で迎えるクリスマスに更に貧しい人へ施しを与える場面が印象に残っています。あの姉妹の父親なら、確かに理想家でしょう。奴隷の境遇の悲惨さには目を覆いたくなる気持ち。こんなことが許される筈はないと思いたいけれど、南北戦争の時代はそれほど前ではない…妻と夫のすれ違いも切なかったです。お互い転落することになった原因を相手に求めているのは辛い。口に出来ない思いを飲み込んで前を向き続け家族であろうとする意志には心を打たれます。2020/03/10

Panzer Leader

56
歴史ミステリーの傑作「古書の来歴」の作者の前の作品。世界的に愛されている家庭小説の古典と言われる「若草物語」のいわば裏版。登場人物たちも人間くさくてドロドロとしている。元祖が好きな人は読まない方が良いかもしれない。2022/04/03

藤月はな(灯れ松明の火)

50
ハウスの『世界名作劇場』でしか知らない『若草物語』で4姉妹達の規範となった両親の物語。マーチ氏は自分の思い通りにならないと苛立ち、他者の気持ちを考えない無自覚な独善家だし、マーチ夫人は子供には親として接しているけど、他の人には実は大人になりきれない子供として描かれているのです。現実にいたらこの二人は絶対、付き合いたくないタイプだな・・・。特にマーチ氏が南軍に拷問されるキャリバン氏を助けるために彼の婚約者のことを口にするもそれが彼の心の傷を蘇らせてしまう場面は、キャリバン氏の事を思うと余りにも痛ましかった。2017/09/27

星落秋風五丈原

39
『若草物語』がオルコットの家族をモデルに描かれたことはよく知られている。父は超絶主義者で教育者のエイモス・ブロンソン・オルコット、母はニューイングランドの由緒ある家柄出身のアビゲイル・メイ・オルコット。ルイーザ・メイ・オルコットは四人姉妹の次女、作家を目指すジョー=オルコットだ。『若草物語』における主人公は四人姉妹で、両親は、時に暴走する彼等をたしなめ、正しい道を歩むよう教え導く彼等を教え導く大人ポジションだ。物語は南北戦争の最中、従軍牧師として赴いたマーチ氏が妻にあてて手紙を書く場面から始まる。2022/09/03

流言

20
実際のところ、当時のアメリカ人が奴隷制をどう考えていたのかはわからない。奴隷制があるべき姿だと考えていた人もいただろうし、奴隷制が良くないけれど経済的成長のために賛成していた人もいただろうし、奴隷制は絶対に許されざるものだと考えていた人もいたのだろう。少なくとも、『奴隷制は悪』あるいは『リンカーンは南北戦争に勝つためだけに奴隷解放宣言をした』というようなシンプルすぎる解釈が真相、ということはないのだろう。それを考える機会になったという点においても、読む価値はあったと言える。書いた人、オーストラリア人か。2020/01/24

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