内容説明
理論的枠組みだけではなく、現在の物理学界の政治的な状況、硬直化した研究体制にもメスを入れ、科学への信頼回復をめざす提言の書。
目次
1 未完の革命(理論物理学の五大問題;美しいとされること ほか)
2 ストリング理論略史(革命の準備;第一次ストリング革命 ほか)
3 ストリング理論を超えて(現実世界の意外な事実;アインシュタイン上の楼閣 ほか)
4 経験から学ぶ(ソシオロジーとの闘い方;科学とは何か ほか)
著者等紹介
スモーリン,リー[スモーリン,リー][Smolin,Lee]
1955年ニューヨーク生まれ。1979年ハーヴァード大学大学院で理論物理学の博士号取得。その後、プリンストン高等研究所をはじめ、全米各地の研究所に参加し、さらに英国やイタリアの大学で客員教授も勤める。2001年にカナダに移り、ペリメーター理論物理学研究所の設立に参画。専門は量子重力理論だが、ストリング理論を含む現代物理学の諸相にも通じ、著作の中では哲学的な見地から直面する問題を論じている
松浦俊輔[マツウラシュンスケ]
翻訳家。名古屋学芸大学非常勤講師など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こひた
3
「物理学は30年進歩してない」ってのはドラマBBTでもいじられていたが、ひも理論にリソースを振り分けすぎてるのではって批判はなかなかおもしろかった。2019/07/17
おりぜる@論文終わるまで読書可能時間激減
3
10年くらい前に読んだ本。感想書き忘れ。▼素粒子物理学の最先端である超弦理論(超ひも理論)に対して、否定派である物理学者の筆者が、その歴史・現状を踏まえ、問題点を指摘する。▼数十年前に登場した超弦理論は、現在の素粒子標準模型理論を超えた、より上位で包括的な「万物の理論」として期待されているものの、いまだに理論そのものの全貌が見えないこと、高度に抽象化された数学によって記述されているせいで現実との対応関係を見出すのが困難なこと、実証可能な理論的予言を導けていないことなどを著者は指摘している。
Junya Akiba
1
いろいろな意味でとてもためになる。物理学の歴史的な側面、そして、どのように理論が統合されてきたか、そもそも物理的な概念が統一されるとは如何なることか?一見して包括的であり他の理論を全て統合してしまいそうなストリング理論が何故運命的にうまくいかないのか、、、そこにある特殊相対性理論(第二公理:光速の普遍性)の呪縛。現代物理学の現状を概観出来た気になる。最後に学術界における集団思考に関わる問題に触れるが、いずれもきちんと理解したとは言い難いが、大変興味のひかれる内容だった。2023/12/06
T2T3
1
生まれて初めて読んだポピュラーサイエンスの本。読んだのがかなり昔なので内容はよく覚えていないのだけど(ひも理論に傾倒するアメリカの物理学会に対する警鐘が書かれていたような...)、表紙とタイトルだけは記憶に焼き付いてます。思い出の一冊です。
らんまる
1
依然としてメイントピックである超弦が正しいのかどうかは、SUSYがLHCで発見されるかどうかに懸っていると思う。SUSYが出てくれば、物理学者はその方向へ進むべきであろう。2011/04/24
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