内容説明
イランで生まれ、アフリカの大地で育った、異色のイギリス人女流作家、レッシングの会心作。生き、愛し、葛藤する女と男。繊細な心理描写。執拗なまでに対象に迫る姿勢。いずれの作品も読者を魅了して離さない。本邦初訳。
著者等紹介
レッシング,ドリス[Lessing,Doris]
イランで生まれ、アフリカの大地で育った、異色のイギリス人女流作家
羽多野正美[ハタノマサミ]
昭和15年(1940年)2月11日、愛知県海部郡蟹江町に生まれる。広島大学大学院文学研究科(英文学専攻)博士課程単位取得満期退学(1968年3月)。三重大学教授(教育学部及び人文学部)を経て、現在三重大学名誉教授、愛知学院大学短期大学部教授(英語コミュニケーション学科長)。イースト・ウエストセンター文化学習研究所(ホノルル市)研修員(1972~3年)、ミシガン州立大学客員教授(1977年)。日本英文学会会員、日本シェイクスピア協会会員、世界諸英語学会(IAWE)会員
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感想・レビュー
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だいふく
8
友人が韓国ドラマに出てきていたと言って教えてくれたのがこの中の一編、「十九号室へ」。ドラマは観ていないけれど、どんな話か興味津々で借りてきた。 家族といるのは幸せだけれど、でも自分一人になってみたい気持ちに共感。でも、訳が私には合わなかったのか読みにくかった。 「トンネルを抜けて」の切迫感がよかった。2023/05/25
paluko
7
「トンネルを抜けて」の海の描写に魅了されて読み進むも、「バカンス」でオトナの厳しい現実に打ちのめされ「候補リストにもれて」の夢もロマンもない即物的な男女関係に呆れ、とどめは恐ろしい「十九号室へ」。レッシング本人がどうしてこのようなものを書いたのかわからない、と述懐しているのがなお怖い。2023/01/13
takatakari
2
*** 五編の短編集。不思議と読んだ後に登場人物の心情や社会背景に興味が湧いてくる本。大きな事が語られているわけではなく、どちらかと言えば日常のありふれた出来事をネタにくどくど(深く?)と掘り下げている。世界の大学生が好んで読んでいる作家、と解説に紹介されていたが、分かるような気がした。2014/01/06
dubstepwasted
1
「十九号室へ」。理性と教養、社会的責任と豊かさを備えた夫婦の生活の歯車が静かに狂っていく。妻の「狂気」の芽は、私たちのだれもが同様に持っている。2015/03/28