内容説明
十九世紀イギリス小説界の、旧態依然とした手法を打破し、社会の底辺に生きた女性をいとおしく見つめたジョージ・ムアの名作がいま甦る。“エスターはかくも誠実に生きた”。本書には賭け競馬中心の馬主一門の暮らし、ロンドンのスラムや貧しい娘たちあるいは病院や託児所のおぞましい実体、繁華街のうさんくささやパブでのノミ行為、等々当時のイギリスの善良な市民ならば目を覆いたくなるような題材が盛り沢山に扱われ、下層社会に属するヒロインが登場する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きりぱい
2
イギリス小説界に下層社会のヒロインを最初に登場させた作品だそう。女中として働き出したエスターは信仰心厚く真面目なのだけど、もっとうまく立ち回ることも出来ただろうにと、短気な性格で自らを追い込んでいるとしか思えないところもあるヒロイン。女が子供を育てながら一人で生計を立てる苦難が盛り込まれるが、乳母と実子のシステムや、ヒロインの母親の顛末がまさに弱者で一番いたたまれなかったかもしれない。物語に最初からついて回る賭け競馬では、賭けで身を滅ぼしてゆく庶民など、当時の競馬の様子が生き生きと見えてくる。2011/02/21
timeturner
0
ジェイン・オースティンの世界とは正反対で、彼女の小説の主人公たちがこれを読んだら卒倒してしまいそう。でも、現代社会に住む私たちにとってはそれほどショッキングな内容ではないのかも。2010/04/28
-
- 和書
- 青年団と国際交流の歴史