内容説明
19世紀末から20世紀初頭のアイルランドを舞台に、作者ジェイムズ・ジョイスの半生を描く自伝的教養小説『若き日の芸術家の肖像』は、ジョイスの文学世界に読者をいざなう「扉」である。「ジョイスへの扉」を新たに開く12の「鍵」を収めた論文集。
目次
『若き日の芸術家の肖像』の鳥表象と芸術家像の再考―イェイツとシェリー作品とのつながり
クランリーの人物造形―親友ジョン・フランシス・バーンの肖像
フィクションと伝記的事実から読み解くジョイスの階級意識―イエズス会、クリスチャン・ブラザーズ、移民
スティーヴンと堕罪の甘美―もはや若くはない芸術家となるための
「心とは何か」を学ぶこと―『若き日の芸術家の肖像』と『ユリシーズ』におけるスティーヴンの母の祈り
『若き日の芸術家の肖像』―自伝と虚構・二つの顔を持つヤーヌス
傷ついたジャガイモ―『若き日の芸術家の肖像』の政治的無意識としてのアイルランド大飢饉
知識偏重なスティーヴンの失敗―身体と精神の連動と分離
ジョイスを読むベケット―二人の少女の死とその語りについて
ジョイスの“ベヒーモス”―『スティーヴン・ヒアロー』あるいは『若き生の断章』試論
“O,he’ll remember all this when he grows up”:Joyes,Fenianism,and Memory
Eduction:The ‘Jesuit’ Artist and the Speckled ‘Bard’
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