内容説明
作家としての早世を惜しまれるJ.オースティンが、10代の想像で創造した女ざかりの悪女を、女ざかりの30代で清書した書簡体小説Lady Susanの本邦初訳なる。
目次
レイディ・スーザン
作品論 『レイディ・スーザン』(『レイディ・スーザン』の誕生;『レイディ・スーザン』―その形式について;レイディ・スーザン―主人公について)
作家論 ジェイン・オースティン(ジェイン・オースティン あるいは、美しくて退屈な物語―その読みの試み)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mana
2
オースティンの書簡形式の習作。結婚前の女性ではなく、中年の未亡人でどちらかというと敵役な人間を主人公にしているのがオースティンの作品としては異色な印象。後半の解説でラクロの危険な関係を引き合いに出しているけど、確かに色々似た要素がある。今まで読んだオースティンの作品とは随分印象が違うけど、こっち系の話も深めてたら面白いものになったんじゃないかって気がする。2017/10/27
きりぱい
2
表舞台のない、裏で飛び交う手紙だけで展開する構成はまるで女の心理戦。見てはいけないものを見てしまったようで怖い。主人公のレイディ・スーザンは、徹底した悪女ながら、他の鈍そうなキャラを抑えて際立っているという、後の6作品の主人公とは異なる特異な存在。後半の作品論と作家論はそう興味は惹かれなかったけれど、作品に限って言えば、ラストが駆け足気味なので、清書されたまま眠る原稿ではなく推敲されて発表されていたら、どんなにか面白い小説になっただろうと思ってしまう。2009/06/01
timeturner
1
やめられない止まらない面白さだった。最後の大急ぎでくっつけたような「結語」はかなり性急な感があるが、10代でここまでえげつない中年悪女を書けるって凄くない?2009/05/26