感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
澤水月
18
最後の猫ギャグ(やもり!)以外既読だった、表題作印象的な内容で(ホッケみたいになるフィッシュボーン編み当時覚えたよ)霊感少女もよく覚えてるのにタイトルと結びつかず。それにしても言霊の概念から具体的にアスリートのイメージトレーニングまで展開させるとは山岸先生早い! 嫌な女にもそれなりの理由がある(悪役にも逃げ道残してる)、生き抜くことが大事…かなり発表年代が広いがメッセージ変わらないのには驚く。どの年代も絵が官能的2015/05/04
小夜風
17
【所蔵】再読。この巻は嫌ぁな女がたくさん出てくる。人間の醜い部分をまざまざと見せつけられて、気分が悪くなる…けど、それは自分の中にもあるかもしれない醜さで…。「二日月」の自称霊感少女、中学の時こういう子いたなぁ。ホント不気味でした。「貴船の道」は面白い。彼女が元妻に復讐されたのかどうか判らないけど…これから良いお母さんになれそうに思えた。「黒のヘレネー」と「奈落」は、誰が狂っているんだろうと思ってしまう。まともな人なんか誰もいない…怖い。「朱雀門」は最後応援したくなる、良い終わり方でした。2013/11/28
スズコ(梵我一如、一なる生命)
14
三宅香帆さんの本で紹介されていた。実際のメッセージは、この本の中で更に紹介される芥川の短編で、それは更に伊勢物語(確か)を元にしている、生を自ら生きることのできなかったものは死も全うすることができない、という話し。最後に高僧の言葉で唐突に終わる?芥川の伊勢物語に対し、山岸涼子が漫画により解説を加えた形(山岸涼子がこの引用を引くために出した姉妹の現代的な悩みもまた良いけど)。もののあはれ、奥深さを感じ取る力は近代になり結構堕ちているのかもなと実感。自分としては黒のヘレネーが好き。2025/03/10
直人
8
『二日月』『ティンカー・ベル』『幸福の王子』『貴船の道』『黒のヘレネー』『朱雀門』『愛天使』『奈落』『天使カード』 表題作は初読み。 言葉の持つ暗示の力(”言霊”)を巧く描いた作品だと思う。 山岸先生の作品を読むと,人間というのはよくよく業の深い生き物だということを改めて思い知らされる。2018/10/31
ぐうぐう
8
なんといっても、表題作だろう。自分を慕っていた友人に、あることがきっかけで逆恨みされていくという展開は、別段目新しさはない。よくあるストーリーだろう。しかしその恐怖を山岸涼子は、セルフコントロールという視点で描いている、そのことが驚きだ。凡庸なストーリーも、このように視点を変えるだけで、斬新な物語へと変貌する、そのもっともたる例として、「二日月」はある。2011/03/14