感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみねこ
83
ミツカン創業家3代の物語。知多郡半田村の酒造業中野半左衛門家の婿養子・三六は、酒粕を使った粕酢作りを編み出し、後に分家し又左衛門家を起こす。初代が家を起こし、二代目が基盤を作り、三代目が発展させる。江戸で粕酢の旨さに気づいた寿司職人との出会い、中野家が粕酢を発明したことで世界に日本の寿司が広がった。面白かった。新潟県立図書館からの相互貸借本。車浮代さん、初読み。2022/09/21
ぶち
82
『蔦重の教え』の著者の車浮代さん、江戸料理研究家でもあるんですね。"熟れずし"や"押しずし"から現在の"江戸前ずし(早ずし)"へと発展していくきっかけとなった粕酢を取り上げたのは、江戸の料理を研究している車さんならではの眼の付け所だと思いました。今のすし酢が まさか酒造りの失敗から生まれた粕酢から始まっていたとは!日本が世界に誇るソウルフード"江戸前寿司"誕生の経緯に迫るこの歴史小説は、粕酢に生涯をかけた男たちだけではなく、その妻や娘たちの生き様をも描きだしてくれて、胸が熱くなります。2025/01/11
真理そら
54
ミツカンの創業者から3代目までの物語。養子縁組でつながるので系図が無ければ人物把握にもっと苦労しただろう。半田での中野家(盛田家も)が果たした役割は大きかった。寿司の発展?と粕酢の改良がリンクして語られるのでお寿司食べたいという気分で読了。2024/01/01
アーちゃん
39
読友さんのレビューから借りた本。ミツカンの創業と江戸前寿司の誕生という内容が気になり読了。中野又左衛門三代、初代(三六)は酒造業として創業し、酒粕から酢の製造を始め、二代目(太蔵)は高級粕酢を生み出し、三代目(小七)が売り上げを伸ばす。途中出てくる華屋与兵衛や堺屋松五郎が粕酢を使用して江戸前寿司の基礎を作る。面白かったけれど、初代で全ページの半分を割いているためか三代目がやや駆け足気味なのが惜しい。扉絵<酢作り工程絵図>が浮世絵調で素晴らしい。2023/08/15
tomtom
16
ミツカンの創業までの話である程度は知っていたけど、読んでみた。山吹は今でも大事に扱っている印象だったけど、こんな背景があったからなのだなと改めて知った。あのあたりは今でも酢の香りがするけど、残っていくといいな。前半の酒造りの苦労がじっくり書かれているのに対して、後半はあっという間に過ぎていったように感じた。2022/10/19