内容説明
彼らはなぜ広島で被爆し、戦後、太平洋を渡ったのか。米国に暮らす被爆者たちが今、未来に伝える葛藤と希望の「戦後」。第六回「潮ノンフィクション賞」(二〇一八年度)受賞作「トルーマン大統領の国に生きて―在米被爆者の軌跡」を加筆・修正。
目次
第1章 闘ってきた
第2章 病に思う
第3章 白人社会の中で
第4章 薄い記憶
第5章 伝える
著者等紹介
松前陽子[マツマエヨウコ]
香川県生まれ。関西大学法学部卒業。京都大学大学院法学研究科修士課程を修了後、1996年、黒田ジャーナルに入社。その後、西日本新聞社などの日刊紙で約15年間、記者として、警察や司法、行政、経済を担当した。フルブライト奨学金(ジャーナリストプログラム)を得て、2011年から1年間、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で客員研究員。15年に米国ロサンゼルスへ移住し、18年、「トルーマン大統領の国に生きて―在米被爆者の軌跡」(単行本化に際し『在米被爆者』に改題)で第6回潮ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
28
広島で被爆して、何らかの事情でその後アメリカに渡った被爆者は95年現在976人いるという。本書は「原爆投下で日米、多くの命が救われた」とする原爆必要悪説が根強く主張されているアメリカで、原爆投下側の人たちと、一人で対峙しなければならなかった人々の記録、労作だ。いつ何時発症するかわからない原爆症の恐怖に加え、社会の無理解、原爆症を理解する医者が少なさ、保険制度も時には加入を忌避される不完全さ、家族からも誤解や遺伝を恐れられる等の過酷な現実の前に言葉もない。 2019/10/29
マイケル
5
8月6日ヒロシマ原爆投下から75年、日本以上に大変な在米被爆者の様子を伝える貴重な1冊。原爆のおかげで百万の米兵と大勢の日本人の命が助かったので感謝しろと言われる。戦前広島から米国に大勢の移民。広島に帰って被爆し戦後米国に戻った途端、徴兵制で朝鮮戦争に出兵した者も。被爆者が原爆の話をすると、すかさずリメンバー・パールハーバーと切り返してくる。医療費の高い米国、被爆者と分かると医療保険金額が高くなったり加入拒否も。以前読んだ本「いまなお原爆と向き合って 原爆を落とせし国で(大竹幾久子著)」の著者も登場。2020/08/06
田楽
3
広島で被爆しアメリカで暮らす在米被爆者の戦後を綴るノンフィクション。 被爆体験そのものよりも被爆後の暮らしについてなかなか知る機会が無かったので興味深かったです。海外、特にアメリカということで国内にはない苦労が知られて考えさせられました。2019/08/22
tecchan
1
アメリカには広島で被爆した人が千人以上いたという。戦前、移民が多かった土地柄、家族が広島に戻ってきて被爆、戦後様々な事情によりアメリカに戻った人も多い。偏見、差別などとの戦いは日本在住の被爆者ともまた違ったものだった。そうした人々へのインタビューを通して戦争の悲惨さを訴える。2021/12/28
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