内容説明
京都の小さな町で、遺書らしきメモとともに34歳の女性・小倉由那の遺体が発見された。それから数日後、同じ町で心療内科を開業する慶太郎のもとを、女子高校生の棚辺春来が母親に連れられて訪ねてくる。彼女の不調の原因を探ろうとする慶太郎は、春来の口から由那の死に関する驚くべき疑念を聞いてしまう。
著者等紹介
鏑木蓮[カブラギレン]
1961年京都市生まれ。佛教大学文学部国文学科卒業。2006年に『東京ダモイ』で第52回江戸川乱歩賞受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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モルク
99
京都の小さな町でスーパーのアルバイト由那が自殺する。心療内科医本宮の患者の女子高生は彼女は自殺ではないと主張する。本宮はその死の真相を探るべく調査をする。そこまでやるか感はあるが、食品ロスという重い社会問題を扱っているわりに読みやすい。刑事や新聞記者と協力し、次々と疑わしい人物から犯人をあぶり出す。金儲けと夢の実現…その隙間でもがく人…最も印象深かったのは「ヨダカのこころ」2020/03/21
aoringo
87
一人の少女の摂食障害から始まり、アパートでアナフィラキシーショックで亡くなった女性の死へと繋がっていく。彼女は自殺だと思われていたが...心療内科医師がその謎を追っていくミステリー。食品ロスは私も普段から気になっていた問題だったので結構食い気味に読んだ。犯人とその事情が分かったときは悲しさと意外な人物の優しさにほっとしました。宮沢賢治のよだかの星がキーワードになっていたのだけど、彼の作品を取り上げた別の作品もあるようなのでそちらも読んでみたいです。2022/10/13
ダイ@2019.11.2~一時休止
86
新シリーズらしい。食品ロスがテーマ?。最後はイイ感じにまとまってよかったです。2019/05/05
タイ子
81
心療内科医、本宮慶太郎シリーズ第1弾。診療内科医なので、事件に関わる人間の心理状態を掴むのは得手のもの。診療にやってきた女子高生の摂食障害の原因が身も知らない1人の女性の自殺のニュースだった。彼女の最後の姿を偶然見た女子高生は自殺じゃないと訴える。本宮が調べ始めたその先に見えたものは…。現代の日本が抱えている食品ロス問題。それに端を発する事件の概要が金儲けと夢の狭間にいる人間たちを追い込んでいく。宮沢賢治の物語と食物破棄問題が上手く絡んでナットクさせられるミステリー作品。面白い!2019/07/25
Yunemo
64
だいぶ前に読んだ著者作品「甘い罠」、著者の名に惹かれて本作品を。表題の意味が理解できぬままに。心療内科医のカルテが副題、話の糸口は診療室から始まるのだが、心療内科の診断手法がもうひとつ理解しづらく、実際の推理力の部分のインパクトが何となく弱い感。目星通りの結果であって、でも派手さがなく淡々と地味に展開する手法には好感が持てて。慶太郎・澄子夫妻、恭一、この3人の個性をもっと表に出しての展開に期待感。食品ロス解決問題については、今まさにコンビニ等で始まるのだが、本来の解決策とは違うんじゃない、と声に出さずに。2019/06/23