出版社内容情報
どこか懐かしくて、温かい。ロマンチックラブストーリー。「時をまたいで仕掛けた、あの恋のつづき」
亡くなった祖母の思い出がたっぷりと染み込む家で、突然の思いつきで始めた「タイム屋文庫」。
タイムトラベル専門の貸本屋というアイデアは、実は、かつて置き去りにしてしまった恋のつづき。
そこで彼女はたった一人の客を待つつもりだったのだが………。
考えなしでヌケ作の三十路女性が、心機一転をはかって繰り広げるラブストーリー。その結末は!?
朝倉かすみ[アサクラカスミ]
著・文・その他
内容説明
三十一歳で会社を辞めた柊子は、初恋相手を待つために、亡き祖母の家で時間旅行の本を扱う貸本屋を開く。近くのレストランの店長にコーヒーの淹れ方を習い、喫茶も提供して。店内には雑音混じりの定番曲が流れ、訪れた客はソファで居眠りをし、自分の未来を暗示する夢を見るという―。柊子の初恋の人は店に現れるのか。
著者等紹介
朝倉かすみ[アサクラカスミ]
1960年、北海道生まれ。2003年に「コマドリさんのこと」で第37回北海道新聞文学賞を、04年に「肝、焼ける」で小説現代新人賞を受賞。05年に『肝、焼ける』で単行本デビュー。09年に『田村はまだか』で吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
49
なんとも、とりとめのない読後感。読んでいる時はそれなりに楽しんでいたのですが、それで何が残ったのかな。ふと、家族ではないけれど、近しい人の場合、あまり責任感の無いふわふわとした人当たりの人の方が好ましく感じ、責任感から厳しいことを言う人を遠ざけたくなる気持ちを思い出しました。姉が夫の不倫で苦しんでいても、自分の不倫経験を思って罪悪感を抱かない柊子さんだからこそ、リスちゃんも受け入れられたのでしょうか。悪い人ではないけれど、樋渡さんと結婚され、夏子ちゃんんも授かったのは、ツボミおばあさんに感謝ですね。2021/06/22
エドワード
28
市居柊子は16歳の時、同級生の吉成君に恋をした。「結婚してください」若すぎて、はぐらかされた。OLになった31歳の柊子は、故郷の小樽で吉成君の好きなタイムトラベルものの貸本屋を開けば、必ず彼と再会できる、と確信する。そうして亡き祖母の家で「タイム屋文庫」が開店した。新聞配達とウェイトレスで生活費を稼ぐ柊子、することなすこと、驚きの連続だが、柊子が可愛らしすぎて、作品全体に温かい雰囲気があふれまくる。子供や友人のタウン誌を見た女子たちで賑わう。そして運命の再会!でも柊子の結婚相手は別の人だ。いいオッサン。2024/01/10
Norico
21
時間旅行の話しかない貸本屋さんって素敵。柊子も単なるのんびり屋さんじゃなく、新聞配達で生計をたてるガッツもあって、応援したくなる。つぼみおばあちゃんもリスも、出てくる女性がみんなかわいい2021/05/23
ゆみにてぃー。
18
読書会でお借りした一冊。 タイムトラベルの小説を中心に取り扱い、貸し本もできるブックカフェ「タイム屋文庫」。そこのソファで昼寝をすると将来を暗示した夢がみられるという。 出てくる登場人物と展開に捻りが効いていて、ありふれておらず良かったです。そして朝倉さんの描かれる景色や場面場面の雰囲気の表現がとても綺麗なこと。実際読んでいて、まるで夕方の匂いが鮮明に香ってくるかのようでした。 「人ってそういうところあるよね」と弱さも悩みも包んでくれるような話です。最後はみんなが落ち着くところに落ち着けて安堵しました。2019/03/02
そうたそ
18
★★☆☆☆ 新作かと思いきや2008年に刊行されたものを文庫化したとのこと。亡き祖母の家でタイムトラベル専門屋の貸本屋をはじめる主人公という設定は面白いのだが、どうにもピンとこないストーリー。全体的に浅いなあ、と思ってしまうような話で、やはり最近の朝倉さんの作品に比べると、良くも悪くも若さを感じた。読むと意外に心地よい文章なのだが、肝心のストーリーの部分に何一つのせられるものがない、というような作品だった。2019/03/01