出版社内容情報
開高健ノンフィクション賞「インパラの朝」著者・中村安希が贈る、生と死を考えるノンフィクション。あなたにとっての?マイベスト?の星空は何ですか?
北インド・ラダックへの28日間の旅――。
2014年9月、北インドの地・ラダックに降り立った。
仕事から、そして社会の喧騒から離れた、自分のためだけにある旅。
その旅にはたった一つの目的があった。
それは、、、
「人生観をその根底からひっくり返してしまうような、ものすごい星空に出会うこと」。
星空を追い歩き続ける中で度々胸をよぎる、今は亡き友人ミズキへの思い。
「生とは、死とは、死と向き合うとは――」。
中村安希[ナカムラアキ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くれの
11
ロードノベル的な旅行記は絶景の星空を写すことを目標に過酷な旅が進行します。孤独にでも確かに一歩ずつ足を踏み出し生きる目的を探し続ける彼女の姿に感銘を受けました。踠いてでも諦めずに頂を目指す大切さを教えてくれます。2019/06/09
月夜乃 海花
11
友人のミヅキ。彼女は帰国子女で英語ができた。ただそれだけで出来る壁。そして、ずっと触り続けるとひんやりとしてきそうな寂しさ。そんなミヅキとのやりとりを挟みながら、著者は星を見にラダックへ向かう。星が見たいというそれだけの理由で。著者はミヅキに問い続けている。きっと何かを。
たぶこ
9
最高の星空を求めて過酷な道を行く作者。合間に、亡くなった友人ミヅキのエピソードが挟まれる。旅は肉体的に辛そうだけど、途中で出会う人々とは温かな交流がありホッとします。一方のミヅキを絡めた過去の話は読みながら酸素が薄くなるような心地がしました。生きるって本当に息苦しい。作者の姉が語る仏画の話が、一番真理をついていると思いました。星空を追う苦しい旅の最後は、星が去った後の雲一つない朝日で締めくくられます。最後まで読んで、本当によかった。2019/01/28
amdd
8
図書館でノンフィクションの特集をしていて、たまたま手に取った中村さんの本を読んでみたらとても好みの文章で面白かったので、追っかけてみることにした。本作、2冊目。「その旅には目的と呼べるものがひとつだけあった。人生観をその根底からひっくり返してしまうような、ものすごい星空に出会うこと。私は、ヒマラヤ山脈の中を二五日間かけて歩き回り、そこに完璧な星空を見つけ出すつもりだった。」満天の星空を見たくなった。砂漠の星空がいい。旅に出たくなった。登山もしたくなった。ミヅキの話も、胸に刺さった。2020/10/31
ジュースの素
8
ラダックの風景には緑が少ないどころか全く無くてまるで月世界かと思うような岩山が連なる。空気が薄く澄んでいる。幼い頃から付かず離れずの友人と言えるかどうか分からないが常に気になる存在のミヅキの事と、無機質なラダックの山や谷を歩くのを並行して描いた作品。新月の夜に合わせて星を見る為にそこに行く、自分を極限まで追い込むようなトレッキング。著者と同じ気持ちになってまるで薄い空気の中を共に歩くようだった。私もラダックに行ったので風景がよみがえる。2018/09/28