内容説明
神戸に住む女子短大生の生田有子は、幼い頃に母が失踪し、今は警備員をしている父・有正と二人暮らし。ところがその父が、ある日仕事帰りに刺殺される。「人に恨まれることなんてないお父ちゃんがなんでこんな目に…」。しかし、次第に浮かび上がる父の秘密に直面した有子は、自らの手で真相に迫ろうとする。江戸川乱歩賞作家が満を持して贈る渾身の長編ミステリー、待望の文庫化。
著者等紹介
鏑木蓮[カブラギレン]
1961年京都市生まれ。佛教大学文学部国文学科卒業。2006年『東京ダモイ』で第52回江戸川乱歩賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紫 綺
103
単行本にて読了。救われたような救われていないような何とも複雑な読後感。2016/04/23
はつばあば
75
「ことづて屋」の後がこの本かい・・と見えない鎖に繋がれた読書日。母に家出をされ・・父子家庭を切り盛りする有子。いつもの日々が☎一本で突然崩れる。それでも食べていかねばならない。女が男より逞しいのは日々の食事の用意ができることだろう。父の想いは逝ったあとで知らされても辛いじゃない、言葉で伝えなきゃ。娘の母への思いは嫉妬もあるのだろうか・・。決して悪い人じゃない奔放な母のこれから。どこかで折り合って欲しいと願う。2016/11/06
とろこ
65
なぜ、父は、「見知らぬ男」に刺殺されねばならなかったのか。19歳の女子大生・有子は、父が勤めていた会社の社長で、元刑事の中原と共に、真相の究明に乗り出す。その間に、9歳の時に、自分と父を捨て、家を出た母と再会する。母へのアンビバレントな感情と、父への愛情。中原への依存と淡い想い。次第に明るみに出る事実に、心が絶えず揺れ動く有子が知った真実とは…。哀しみは癒えずとも、憎しみを乗り越え、不仕合わせを不幸にしないよう、将来に向けて歩み始めた有子のこれからに、幸せが待っていることを願う。『白砂』に似たテイスト。2017/11/24
茜
47
神戸に住む女子短大生の生田有子は、幼い頃に母が失踪し、今は警備員をしている父・有正と二人暮らし。ところがその父が、ある日仕事帰りに刺殺される。「人に恨まれることなんてないお父ちゃんがなんでこんな目に…」。しかし、次第に浮かび上がる父の秘密に直面した有子は、自らの手で真相に迫ろうとする。レッドへリング(ミステリーの業界用語でいう犯人と見せかける罠)が上手く使われていて、考えながら読むのには丁度良い本だと思いました。2017/02/17
mintia
32
不幸な家族がたくさん出てて、少し気持ちがヘビーになりました。そんななか、主人公には好感が持てた。2016/08/07