内容説明
ドイツ古典主義の傑作「タッソー」。至高不滅の戯曲の数々、記念碑的な作品群。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
34
「タウリスのイフィゲーニエ」(1787)の感想です。この戯曲は、文学史上はゲーテの古典主義への転換を示すものとされる。その意味が私にはよく判らなかったので、念のためエウリピデスの同名のギリシャ悲劇を予習してから読んでみた。驚いた。ギリシャ悲劇を下敷きにしたというけど、せいぜいヒロインの設定を借りたぐらいかなと予想していた。しかし、勿論セリフや細かい筋は完全に別物なのだが、舞台も4名の主要登場人物もストーリーも全く同じなのだ(そんなの常識なのかな)。明らかにこれは、ギリシャ悲劇のある一点に絞って、↓2020/10/12
twinsun
10
実人生に生きることと芸術という孤独な営みの葛藤。芸術家は粗暴を庇護者にその煌めきで受容されることを強要し、その煌めきゆえに目的を達するタッソーの物語は、芸術家気質への受容を求めるゲーテの本心を現しているようだ。。トロイ戦争勝利に為の贄として消えたはずのエフィゲーニェが父殺しの敵をとった母殺しの兄のオレストの訪れとディアーナ神の後ろ盾を得て、王アルカスの心を動かし、タンタロス一族の暗黒の運命を超克する「タウリスのエフィゲーニェ」は悲劇の家系に輝く未来を切り開きほっとする読後感があった。2022/01/28
てれまこし
10
『ウェルテル』などで疾風怒濤運動を焚きつけたゲーテは『イフィゲーニエ』で彼の追随者を置き去りにして、自分の才能に見合わない惨めな環境への憤りから世界との和解へと歩を進める。巨人主義は残るが、ゲッツやエグモントのように悲劇で終わらない。『タッソー』は激情型と実務型という二人の人間の衝突であるが、自身を映しだす鏡である詩人を突き放しながら一類型として世界のなかに包摂してしまう。運命への抵抗が死に終わらずに生に向かっての巨人的努力へ向けられる。だが死が捨てられたわけでもない。死を乗り越えるところに生の意義がある2021/02/04
泉のエクセリオン
7
ゲーテの所謂イタリア旅行後に発表された「古典期」の戯曲集。ギリシャ神話から題材をとり、タンタルス一族の呪いを「ドイツ的な真心(ゼーレ)」で調和に向かおうとする『タウリスのイフィゲーニエ』や実在の詩人タッソーの生涯から、詩人の感じやすく激情的な性質の持ち主であるタッソーと、実践的な政治家であるアントニオとの対立から両者の協調に向かいたい姿勢が伺える『トルクヴァート・タッソー』など、シュトルム・ウント・ドラング的な感情の爆発から、人と神、人と人の調和を目指す人間像を目指すような戯曲が多く含まれるように思う。2025/12/09
月音
5
『イタリア紀行』で言及のある『タウリスのイフィゲーニエ』『トルクヴァート・タッソー』『ナウジーカア』の他に、6作の戯曲を収める。作者の古典主義の出発点となる作、フランス革命に触発されて執筆した作、王族の祝賀行事用という内訳。『イフィゲーニエ』『タッソー』は完成度が高く、革命関連はサスペンスフルで読ませる。何作かが未完なのが惜しい。総じて作者の高い理想が込められ、終始、荘重さと品格が保たれているのはさすがだ。が、メッセージ性を前面に出しすぎて、押しつけがましさを感じてしまう。⇒続2025/03/18
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