内容説明
疾風怒濤時代を駆ける「ゲッツ」。情熱と勇気、時代の先駆けとなった作品群を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
36
【ゲーテの時代2】本巻は初期戯曲9編を収める。まず(1)『いとしい方はむずかり屋 牧人詩劇 一幕』。残された最初の戯曲。ゲーテ18歳。この頃の作品はほとんど自ら焚書にしているがなぜ残されたのか。自伝には、ライプツィヒ大学時代の恋人ケーツヒェン(酒場の娘)を苦しめて楽しむという悪癖(おかげで彼女を失い自らの肉体を痛めつけたらしい)を懺悔するために書いたとある(詩と真実第二巻p126)。確かに、恋人を苦しめる男と、その男に首ったけの純情な少女が出てくる。これに関係の良好なもう一人組のカップルが対比される。↓2020/11/14
翔亀
34
【ゲーテの時代3】初期戯曲集の[2]『同罪者 喜劇三幕 第二稿』(1769年)。二十歳の作。これはゲーテの自信作だったようだ。後年改稿もされている(1783年)。当時の傑作のレッシング「ミンナ・フォン・バルンヘルム」(1763年)を喜劇の形式の技巧面でお手本にしたようで、うまいなあとは思うが、レッシングには遥かに及ばない。レッシングが軍国主義のプロイセンの軍人をして人間の<誇り>を主張せしめるという思想があったが'(ゲーテも絶賛している)、本作にはそれが皆無なのだ。ゲーテは自伝で弁解のように「自分では意↓2020/11/15
twinsun
10
なんといっても「シュテラ」の結末をどうつけたものか。悲劇にするにはあまりに身勝手で切なく、ハッピーエンドはあまりに自堕落だ。ゲーテの自分に許してきた恋愛観が破綻した幕切れの一つなのであろう。これも親和力の一つであろうか。2022/01/13
てれまこし
10
俗語であったドイツ語で国民文学を作るためにゲーテは中世に目を向けた。当時は古典主義がフランス啓蒙思想と結びついて後進ドイツに重くのしかかっていた。そうして中世の騎士や貴族が自由の闘士、俗人の打算からは超然とした高貴な魂として描かれることになった。ドイツ啓蒙思想は最初から中世的なものへの憧憬を含むことになった。市民社会では滅亡しつつある貴族的精神が自由と結びつけられ、後のロマン主義などに引きつがれていく。ゲーテにおいては自由や反抗の形象であったものが、後には反動的精神貴族の形象に転化していくことにもなった。2021/01/14
泉のエクセリオン
7
所謂「若きゲーテ」の戯曲集である。ゲーテの処女作である『ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン』に目が行ってしまい勝ちであるが、その他の『恋人の気まぐれ』は恋人に一切の身の潔白を要求しておきながら、女性に対しては、自身も身の潔白を維持するのは難しいという、微笑ましい恋愛劇であると感じた。『同罪者』は女房の操を疑う宿屋の主人の行動が、ゲーテにしては珍しく、笑いを誘うコメディのようになっている。『クラヴィーゴ』は出世欲に駆られ、心が曇り、恋人どころか自身の身の破滅を招いたりと、味わい深く魅力的な戯曲が多いと思う2025/03/27
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