内容説明
この世で何が幸せか。そして、器量が大きい人間とはどんな人物か。その秘訣とは何か諄々と読者に問いかける現代人間論の要諦。
目次
プロローグ 人間力は素晴らしい
見極めをつける名人
弟子を信じた夏目漱石の器
無欲の人、三宅雪嶺
和の人、吉野作造
大きな人、司馬遼太郎の心遣い
人に道を誤らせる権勢欲
不遜な態度は仕事をも歪める
幸せとは人から好かれること
ゆずる心が人を大きくする
“見てござる”という心がまえ〔ほか〕
著者等紹介
谷沢永一[タニザワエイイチ]
1929年大阪市生まれ。関西大学大学院博士課程修了。関西大学文学部教授を経て関大名誉教授。文学博士。サントリー学芸賞、大阪市民表彰文化功労賞、大阪文化賞受賞。専門は書誌学、日本近代文学。「紙つぶて」「回想 開高健」「だから歴史は面白い」「人間通」「冠婚葬祭心得」「向学心」「人間学」の勘どころ」ほか多数
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カブトムシ
20
谷沢永一さんは、祖父と父が大工の棟梁で、知識階級でない家に育った。彼は、ある時に小学校で、皆に恥をかいて帰ってきた。事情を聞いた母親は、その日の夕食後、「これから、雑誌と本を毎月一冊ずつ買うたげる。どの本がほしいか自分で探しなはれ」と言ってくれた。彼の一生の運命は、この瞬間に母によって決定された。その後の谷沢さんは、知らぬ間に、自分に必要な本を探す感覚を、身につけいくことができた。…子どもがこの本を買いたいと言うたときに、買ってやりなさいと彼は言う。谷沢さんは後に、書誌学者で、日本近代文学の学者になった。
カブトムシ
18
人間力(にんげんりき)と読んで、谷沢永一さんの推奨する司馬遼太郎の用語である。例えば「新史太閤記」の秀吉の「可愛げ」などである。私たちの馴染みの作家の太宰治「人間失格」については、主人公の大庭葉蔵は、社会の不適応者として設定されている。どう振る舞ってよいかわからず道化をやる。その道化が全編通して成功するということは、「人間通」であるという。志賀直哉については、日本文学は人間とは何かという本質的な問いをやぼったいと八割方は、感受性の文学に徹してきた。感覚の微妙さ鋭さを描く志賀直哉がその代表であるとしている。
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