出版社内容情報
劉邦、丁公を説いて九死に一生を得る。
「よく見よ、いま天下は項羽の暴政を怨む者が満ち満ちている。余一人でもこれだけ兵が動いた。いま余を討っても、天下のこの動きは止まらぬぞ」
彭城に入城した劉邦は、連日酒宴を開き、連日酔いつぶれていた。
軍律は守られなくなった。虞姫と項羽一族は、警備のゆるみに乗じて逃亡する。
酃食其は劉邦を諌めるが、劉邦は聞こうとしない。
項羽は彭城の落城を聞くと、自ら3万の兵を率いて彭城へ駆け戻った。
わずか3万の項羽軍によって、60万近い劉邦軍は粉砕された。
劉邦は生きた心地もなく逃げ続けた。項羽は追撃の兵をさし向ける。
劉邦を守る兵は百騎に満たなかった。
目次:
驕る漢軍/夜襲/彭城の戦い/雎水の大敗北/九死に一生/赤い旗/人質/再起を計る/説得工作/九江脱出/君臣のけじめ/大芝居/戦車/韓信の密書/項羽激怒/戦車軍団/滎陽の合戦
付録
項羽と劉邦関連地図
項羽と劉邦ビジュアル 項羽の本拠地・彭城(徐州)を行く 文/後閑英雄 写真/浦充伸
公平な評価を 陳鴻斌(上海国際問題研究所日本研究室副主任)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
35
解説に「劉邦と項羽の間の雌雄を決する戦いは、大きな戦いが七十、小さな戦いが四十もあった」と書かれていました。今回はその大きな戦いの二つが描かれていました。劉邦50万に対して項羽の方は僅か3万で劉邦に勝つ戦いと、そして韓信が漢王のもとに帰ってきて、項羽を破る戦い・・・どちらも見ごたえ満点でした。でも、死者が10万とか20万とかあっさり書かれてますが、死体の山を思い気が重くなりました。2010/11/23
べる
16
張良らの諫言を聞き入れなかった劉邦はわずか3万の項羽軍に60万近い軍で挑んだのに大敗する。上に立つ者は周りの人に支えられて、その立場にいることを忘れてはいけないし、気が緩めばそれは臣下の気の緩みにも繋がると分かっていなければならないと思った。項羽は片腕の英布を満座の中で罵倒し傷つけたことで、敵に有能な人材を渡す結果となる。韓信も劉邦のもとを去りかけたけど、ちゃんと自分の非を認めて必要な存在だと伝えられたから良かった。韓信の策に引っ掛かって怒りに満ちた項羽を誰も止めることはできない。項羽が初めて大敗する。2021/11/13
とんかつラバー
9
ブイブイいわせてる劉邦であったが、調子乗って韓信を人事から外し、宴会ざんまい。漢軍の規律は乱れまくる。そこへ怒り狂った項羽に攻め込まれボロボロに(項羽は暴君だが戦での強さは見事である)ヘソを曲げた韓信を説得してレッツ反撃だ!韓信に謝る劉邦が喧嘩しても上手に謝って仲直りする女子みたいで、こういう人間臭い感じが聖人君子路線の劉備と違う。2021/10/24
T K
8
案の定劉邦は油断し大敗、項羽優位と思いきや韓信復帰でまたまた逆転今度はどう転ぶのか?2014/06/14
文句有蔵
4
うーむ。なんだか馬鹿の項羽と阿呆の劉邦という駒で、范増と張良が勝負をしているかのようだ(^-^;)高祖三傑といえば張良・蕭何・韓信である、とあるが、軍師張良が言うように、天下統一の功績の第一は蕭何だろう。軍が何十万に膨れ上がろうと、ただの一度も兵糧と武器の補給を不足させたことがないなんて、たいした手腕だ。しかもこんな地味な役目を負って腐らず、我が我がと出る杭にならぬところが素晴らしい。これぞ忠臣☆2014/08/20