内容説明
人間共和の理想に立ち上がったロッシィに襲いかかる陰謀。数奇な運命に隠されたロッシィと恋人ローマを結ぶ糸。愛と信義の試練の中で、ロッシィはイギリスに亡命していく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
195
本作の第2巻。本物語に登場する人物たちは架空であり、実在しないが、モデルともいえる史実の人物は幾人か存在する。『イタリア統一の三傑』とも称される”カヴール”、”ガリバルディ”、”マッツィーニ”である。カヴールは、サルデーニャ王国首相(イタリア王国の前身)、イタリア王国首相(初代閣僚評議会議長)、初代外務大臣を歴任。イタリア統一運動では、外交により祖国であるイタリアの統一戦争を進めた。 2021/12/28
マッピー
17
イタリアの当局のせいで、幼いころに生き別れたロッシィとローマ。運命のめぐりあわせでロッシィは革命の指導者に、ローマは貴族の忘れ形見として再会した。で、いろいろあって、二人は相思相愛になるのですが(ってか最初から相思相愛だったよね)、それを許さないのが実質ローマの最高権力者である総理大臣・ボネリィ男爵。あの手この手で二人を引き離そうとする。ローマが男爵に別れを告げた次の日から、借金取りが続々やってくるという世知辛さ。貴族がすべて腐敗しているわけではないように、庶民だって絶対的な善人ではないんだよなあ。2024/11/27
湖都
16
ロッシィとローマは、とうとうお互いの気持ちを告白する。そして革命と反革命は燃え上がり、対立し、恋人達の間に立ちはだかる。物語の自体から離れた感想を述べると、この物語はフランスの書簡文学のようでもある。ナポレオン後、王政復古下のフランスを彷彿とさせる何かがある。ブルジョワ的な貴族のせいか。同時に、古代ローマの貴族対平民をも思い起こさせる。暴力的な部分は特に。ロッシィに殉教者を思わせるからか。そんなことを考えながら読んでいると時代背景が分からなくなって、結局普遍的な物語なのかもしれないと感じる。2021/05/13
ゆりゆり
4
暴力に訴えることなく革命を成功させようと心を尽くしたロッシィだが、子供の死をきっかけに民衆のデモは一気に暴動へと発展する。革命には流血がつきもの。それに比して、日本が大政奉還の時に江戸城を無血開城したのは奇跡的だ。中巻も相変わらずロッシィとローマの熱烈な恋心は増すばかり。ボネリィ男爵が気持ち悪い。約120年前を設定して書かれているが、仏教もイスラム教もキリスト教も、なぜ女性の貞操に厳格なのか。不思議だ。2014/08/06