出版社内容情報
19世紀ロンドン。ストリートチルドレンの主人公クレイは日々不公平を感じている。
ある日、クレイはサーカス団の檻の中で残虐な調教を受けているオオカミと運命的な出会いを果たす。
クレイはオオカミをサーカス団から逃し森へ返すため、ある計画を企てる。
内容説明
十九世紀末のロンドン。ストリートチルドレンのクレイは、泥をあさり、金目の物を探し、縄張りを守り、必死に生きている。そんなある日、町にサーカスがやってきた。チラシに書かれた「オオカミ」の文字に、胸をおどらせるクレイだったが…。ストレーガ賞児童書部門受賞作。
著者等紹介
パラッツェージ,マルタ[パラッツェージ,マルタ] [Palazzesi,Marta]
児童文学作家、翻訳者、出版社・映画制作会社向けコンサルタント。中学・高校生を対象に、文章表現のワークショップを開催している、非営利団体「スーパーヒーロー育成センター」のメンバーでもある。愛する“動物と歴史”を軸に描いた『フォグ 霧の色をしたオオカミ』で2020年のストレーガ賞児童書部門を受賞
杉本あり[スギモトアリ]
出版社勤務を経て、イタリアへ留学。帰国後、文芸翻訳、字幕翻訳、映像翻訳などの分野で活動。『飛ぶための百歩』(岩崎書店)は、2020年の青少年読書感想文全国コンクール課題図書に選ばれている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
73
児童書。19世紀末のロンドンは孤児にとって過酷だった。クレイはテムズ川の泥をさぐって品物を探し売る「泥ひばり」をしている少年で、仲間のトッドとヌッキ―3人で《ブラックフライアーズ橋の暴れ者》を組んでいた。サーカスがやってきて、クレイは見世物にされるオオカミに興味を惹かれる。ロンドンで最後の一匹だと言われた霧色のオオカミに「フォグ」と名付け、サーカスから逃がすことを心に誓った▽過酷な生活を送るクレイが生きて来られたのは師匠サルおじさんのおかげ。文字を読むこと自分で考えることを教えてくれた。2023.9刊2024/01/16
しゃお
25
19世紀末のロンドンでテムズ川で貴重品をさらう「泥ひばり」と呼ばれるストリートチルドレンのクレイ。サーカスの見世物になる絶滅したと言われている狼を見て魅了されるもその境遇に哀しみと怒りを覚え、逃がそうとする姿が描かれる児童文学。同じ泥ひばりの仲間との絆や友情や、生きるもの全てが自由であるべきとの賛歌が胸を熱くします。また、クレイを導くサルおじさんの人生訓が心に響きます。最初はクレイの事も敵視していた狼フォグが、次第に心を許すようになる姿、そして誇りと戦う意思を失わない姿が実に印象的でした。2024/04/29
花林糖
22
図書館本。19世紀末ロンドン。クレイは仲間とテムズ川の泥だらけの川岸で、泥をあさり金目の物を探縄張りを守り生きていた。ある日ロンドンに野生のオオカミを見世物にするサーカスがやって来た。オオカミに興味を持ったクレイはサーカス団の所へ。調教されるオオカミを目の当たりにしたクレイ。サーカス団に売られた野生のオオカミとクレイの物語。(クレイの様な川の泥を漁るくず拾いをする子供達は「泥ひばり」と呼ばれていた)2023/10/20
Chiyo K.
13
ヴィクトリア朝ロンドン。テムズ川の底をさらって金目のものをさがす「泥ひばり」の少年が主人公。サーカスの見世物にされているオオカミがなぜか気になり、野生に返してやりたいと強く思うように。仲間に嘘までついて、なぜそこまでオオカミを解放することにこだわったのか、想像するしかない。誰にも保護されずに生きてきた自分の境涯をオオカミに重ねたのか。オオカミを無理に手なずけず、時間をかけて距離を縮めていくのがよい。雰囲気のある挿画も好み。ただこういう境涯の少年にしては、言葉遣いが行儀よい感じ。小学生にも読んでもらうため?2024/02/06
nukowan
11
児童文学を久しぶりに読んだ。ロンドンのストリートチルドレンの少年。テムズ川に落ちた品々をさらってそれを売って生計を立てている少年。ある日街にやってきたサーカスにオオカミがいるという。少年とオオカミの出会い。少年を取り巻く環境。子どもだけの世界。調教。占い師のおばあさん。少女。仲間との友情、許し、突き進む勇気。少年の育ての親のサルじいさん。ラストのあとの少年がどうなったのか知りたい。笑っててほしい。2024/01/19