出版社内容情報
中学を卒業したばかりのルーチョは、5歳の時に失明した。だが世界は消えていなかった。
周りの目が気になり素直になれない中、無口な少女キアーラと出会い、大切な何かに気付いていく…。
大人への一歩を踏み出す少年少女の成長物語。
10代から大人まで読んでもらいたいイタリアの児童文学作品。
内容説明
「ぼくは目が見えない。でももう子供じゃないんだ」盲目の少年の葛藤と成長を描く、イタリアの児童文学作品。2018年ストレーガ・チルドレン賞受賞。
著者等紹介
フェスタ,ジュゼッペ[フェスタ,ジュゼッペ] [Festa,Giuseppe]
イタリアの作家。自然科学の学位を持ち、環境教育に従事。音楽家でもある。自然についてのルポタージュを作成したり、ドキュメンタリー映画に出演したり、多方面で活躍している。『飛ぶための百歩』で、2018年ストレーガ・チルドレン賞受賞
杉本あり[スギモトアリ]
出版社勤務を経て、イタリアへ留学。現在は文芸翻訳、字幕翻訳、映像翻訳などの分野で活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ🍀
170
満天の星が輝く真夜中に目が覚めた。顔の表情や仕草は見えない。言葉も聞こえない。そう、ルーチョは目が見えなくなった。…しかし、今までのどんな友だちよりも、あって間もない彼には話がしやすかった。気持ちを敏感に感じ取れるから。…相手の心情は、話す早さや声色、間や息づかいで感じることができる。風の音、声の反響、見えないものをルーチョは見ている。シンとした森に響くすすり泣く声。湧き出る嬉し涙。手を取り合って微笑むことに視覚はいらない。全ての人には豊かな感覚があり、大切な心の奥底にある優しさを引き出す力を持っている。2021/05/12
chimako
116
小学校高学年読書感想文課題図書。目の見えないルーチョが山に登ることで得た体験を通し少し大人になる物語。プライドが高く何もかも自分でやりたいルーチョが誰かの助けを借りて困難を越える。課題図書らしい障害を持った子どもが中心のテーマ。鷲の密猟という環境問題にも言及しながらハラハラドキドキの展開で続きが楽しみだった。日本ではなかなか難しい視覚障害者の登山。マラソンの伴走者のような存在があればもっと楽しめるかもしれない。本の少し山に親しむ者として、山の楽しみの裾野が広がると良いなと思う。2020/07/12
seacalf
76
イタリア児童文学界最高の賞であるストレーガ・チルドレン賞を獲得したのは目の見えない少年ルーチョの物語。目が見えないからこそ視覚以外の感覚をフルに使って世界を楽しむルーチョ。彼のように全身で味わう山登りなら、ちょっとしてみたくなる。頑なになりがちなルーチョと、内気さが邪魔をして本来の自分を表現できないキアーラ、二人の触れ合いが新たな一歩へのきっかけになる。ワシの家族と密猟者達とのハラハラさせる攻防戦も描かれ、飽きさせぬ展開。表紙が素敵だと思ったらまめふくさんだったのね。YAなのでさらりと読める爽やかな一冊。2019/09/29
けんとまん1007
73
飛ぶための百歩。改めて、タイトルの意味を考える。障害の有無・・・障害って何だろう?自分自身は、人は誰もが障害を持っていると思っている。それを、変な風に意識することが、却ってマイナスになるのだが、これが難しい。何かのきっかけで、少しずつ変わりうるもの。装丁の絵がいい味をだしている。2020/09/05
☆よいこ
72
YA。5歳で視力を失った少年ルーチョは持ち前の記憶力の良さで、見えない中でも何でも自分ですることができる。人に手助けしてもらうことを嫌い意固地になるルーチョを、ベアおばさんは心配していた。ベアおばさんとルーチョは一緒に登山をして山小屋「百歩」を訪れる。そこで出会った同じ14歳の少女キアーラと一緒に、ワシのヒナを見るために山を昇る。その時、密猟者がワシのヒナをさらっていった。▽小学校高学年から読める。イタリア。2020/03/13