出版社内容情報
1946年、敗戦直後の東京・新橋のヤミ市「新生マーケット」を舞台に、戦争で運命を狂わされた孤児たちが、それでも強く生きようと夢を追いがむしゃらにもがく姿を描く。
物語の主人公、衛(まもる)の父もまた、復員した喜びもつかの間、戦場での壮絶な体験から人が変わってしまい運命を狂わされた一人だった。裕福だったはずの家庭は崩壊し、たまらず家を飛び出した衛がたどり着いたのは、新橋のヤミ市「新生マーケット」だった。
そこで出会った孤児たちのまとめ役、八郎から仕事と居場所をもらい、ある日怪しいダイヤモンド取引の話を持ちかけられた衛は、宝の山の手がかりを見つけた彼らと共に、過去や罪の意識から逃れたい一心で、一旗上げる夢に賭ける。
戦争が残したものとは何だったのか。戦災孤児として生きざるを得なかったヤミ市の子どもたちが、過去と未来、罪と夢の狭間でもがきながら、破局後の東京を生きる少年たちの物語。