出版社内容情報
賢治の作品に登場する鳥を細密画と文章でつづり、賢治の自然への思い、小さな生き物への愛情を伝えます。
国松俊英[クニマツトシヒデ]
舘野 鴻[タテノ ヒロシ]
著者等紹介
国松俊英[クニマツトシヒデ]
日本児童文学者協会、宮沢賢治学会、日本野鳥の会会員
舘野鴻[タテノヒロシ]
1968年横浜市に生まれる。故・熊田千佳慕に師事。演劇、現代美術、音楽活動を経て環境アセスメントの生物調査員となり、国内の野生生物全般に触れる。そのかたわら景観図や図鑑の生物画、解剖図などを手がける。写真家久保秀一氏の助言を得て、2005年より絵本製作をはじめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
がらくたどん
69
賢治童話は東北の自然と生き物の音と動きに満ちている。里近い山を一人で歩き時には一夜を明かした彼にとって野鳥は生活は交わらないのにふと気づくと視界に佇む遠いような親しいような存在だったことだろう。多出する野鳥が作中で生きて動く姿を研究者でもある国松氏の文と舘野氏の細密画で賢治が観察したその視界を追体験するように紐解く。梟の闇夜に沈む喧騒、カワセミの突撃、ヨダカ(オオジシギ)の騒がしさの切実感、一体の大きな生き物のような百舌鳥の群、永遠に世界を巡りそうな白鳥のエネルギー。賢治が心を託した景色を堪能する一冊。 2023/02/10
☆よいこ
59
宮沢賢治の物語にでてくる「鳥」に注目して紹介した本。分類910。ふくろう、かわせみ、はちどり、よたか、おおじしぎ、とき、かっこう、からす、もず(ムクドリ)、はくちょう▽作品の裏話など、宮沢賢治の童話をもう一度読みたくなる。2019/07/28
東谷くまみ
47
先日読んだ「100分で名著 宮沢賢治」と併読していた絵本。BIRDS LIVING IN IHATOV−題名を読んだだけで心が踊る。舘野鴻さんによる細密で繊細な筆使い、ダイナミックな構図。一つ一つの絵が躍動感に満ち、鳥たちの生命力に溢れてる。そして所々描かれる静かで、どこか懐かしい岩手の風景はとても美しい。中でも心がしんと静まりかえり印象的だったのは、賢治の抱える孤独や苦しみさえ描いたかのようなよだかの絵。しばらく目が離せなかった。岩手の自然に愛し愛され、育まれた賢治の物語。その一端を垣間見た気がした。2023/01/05
うなぎ
22
宮沢賢治の作品の一部とあわせて出てくる鳥達をこの上なく迫力ある美麗な絵で魅せてくる絵本。あぁあ何て羽根の細部までガン見したくなる鳥さん達なんだ。不満があるなら、厚さがもっと!10倍くらいくれというくらい。例のクラムボンが有名なやまなしで出るカワセミさんは爽やかで可愛いし、ヨタカの星のヨタカはショボショボした顔で愛らしいし、どこをめくってもたまらん。この絵大好き。2021/06/24
愛玉子
22
表紙の美しさで手に取った本。羽の一本一本まで丁寧に描き込まれた鳥たちは、どれも生き生きとして色鮮やか。構図がとても大胆で、ページをめくるたびに目を奪われる。特に翡翠とよだか、トキのページが好き。体裁は絵本だけれど、書いてある内容は詳しい調査に基づいていて、とても読み応えがあってわかりやすい。蜂鳥、よだか、百舌の謎が面白くて、ほほー!と思った。野山を歩き、林の中をさまよい、星の光からもらってきた童話や詩。宮沢賢治が鳥たちに向ける眼差しは、深い愛情に満ちている。2017/04/11
-
- 和書
- ユプシロン 〈No.2〉
-
- 和書
- 津和野の恋 集英社文庫