出版社内容情報
子育てに無関心な母親の元、周囲からも疎まれてきた亜梨紗。中学の担任とハンノキの花との出会いが危うい心に一筋の光をもたらす
有島 希音[アリシマ キオン]
著・文・その他
流亜[ルア]
イラスト
内容説明
ハンノキの/それでも花の/つもりかな。小林一茶の句を「通奏低音」に、美しく孤独な少女亜梨沙が希望に出会うまでの軌跡を一人称で綴る瑞々しいデビュー作。
著者等紹介
有島希音[アリシマキオン]
北海道増毛町生まれ。作家。同人誌「まゆ」同人
流亜[ルア]
北海道生まれ。商社を退社後、趣味がこうじてイラストレーターに。ソーシャルゲームを中心にキャラクターデザインを手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかだ
45
んん…わたしはわりと好き。小学校で酷いいじめに遭い、担任にも見捨てられ、学校を追放されるような形で不登校になってしまった亜梨紗。シングルマザーの母は亜梨紗に一切興味がなく、完全にネグレクト。隣町の中学校に進学するが、頑なに閉じた心はなかなか開かない。うーん…当たり前だと思う。そう簡単に心は許せない。そういう、全てを拒否せざるを得ない亜梨紗の葛藤がぎゅうぎゅうに詰まっていた。善き先生や優しいクラスメイトのおかげで簡単に心の傷が治癒☆みたいな小綺麗にまとまった話じゃないからこそ、これはこれで凄く良いと思った。2020/03/31
香菜子(かなこ・Kanako)
42
それでも人のつもりかな。有島希音先生の著書。いじめ問題はその時だけの問題のように軽く思われがちだけれど、いじめ加害者は忘れても、いじめ被害者はずっと忘れていない。いじめ被害者はいじめ加害者に対してそれでも人のつもりかなと思っているはず。2019/09/06
hirayama46
6
はじめての有島希音。いじめや親からの愛情の欠乏により、愛情を知らずに育った少女の物語。広い社会問題ではありますが、極端な事例のため、読者にとっては当然のように共感や好感が持てる人々に対しても心を閉ざしてしまっているので、ややとっつきにくいところはありますが、それが問題の深さを物語っているのでしょう。詩歌や物語が出だしの一歩になりうる、というメッセージ性はなかなか好き。2019/09/14
まめもやし3
5
迫力のある文章に圧倒されて、思わず続けて2回読んでしまった。イラストが少女マンガっぽいけれど、小林一茶の俳句と少女の辛さがシンクロして胸に迫ってきた。何度か涙。北海道の牧歌的な風景とのギャップ!そして、ハンノキ。調べよう!2018/07/16
飲も飲も
4
いじめられ、母親からも先生からも見捨てられた亜梨沙が違う中学校で出会った先生とクラスメイト。最後希望を持て、よかった。ハンノキ、見たいな。2018/10/01