内容説明
「樹木医」とは、樹木の心に寄り添って診断し、治療をおこなう「木のお医者さん」。樹齢五百年、千年という古木や巨樹と向き合ってきた塚本さんからのメッセージは、大いなる自然からの教え…。
目次
人々を魅了する大藤
大藤との出会い
女性で初めての樹木医に
よみがえった古木
引っ越しの準備
職人さんたちの協力
大がかりな引っ越し作業
二十キロの大移動
大藤の花が咲いた!
樹木医の務め
樹齢千年のモッコクの伐採
神が宿る樹木
生かされていることへの感謝
自然とのつながり
「藤を究める」ということ
大藤を後世へ
著者等紹介
池田まき子[イケダマキコ]
1958年秋田県生まれ。児童書ノンフィクション作家。雑誌の編集者を経て、1988年留学のためオーストラリアへ渡って以来、首都キャンベラ市に在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
びぃごろ
14
小学生向きノンフィクション。樹齢130年を越える3.5t~5tの大藤4本の移殖は前代未聞。準備の根切りをしてから1年半、真冬の一番寒い時期にトレーラーで20㎞をゆっくり進み2年をかけて無事定植できた話。また、樹木医としての成功から、本当に木は治療を望んでいるのかという疑問、環境や自然を守るというのは傲慢で、私たちこそ自然の恩恵を受け守られているーと木や自然を畏れ敬う気持ちが響く。「1本の木にも人と同じ命があり、生きてきた歴史がある。寄り添って触れて、木の声を聞いてください」2018/01/08
雨巫女
12
テレビのドキュメンタリーで「あしかがフラワーパーク」の大藤をみて、塚本さんの事を知りました。ジュニア版ですので、色々わかりやすかったです。死ぬまでは、大藤にあいに行きたい。2010/08/27
スターライト
9
自然を大切にするー。そのことに異議を唱える人はいないと思うが、それを日々実感するのは難しい。本書は1991年に始まった樹木医の資格制度の第二期生として、また初めての女性樹木医となった塚本さんの物語。それまで誰も手掛けなかった大藤の移植を試行錯誤と同業者の協力で見事成功させ、その後着実に歩んだ道のりを描く。いつも成功したわけではなく、移植を依頼された時にはすでに手遅れだったり、フォローの不十分さから無に帰してしまったこともあったが、自然の大切さを実感するからこそそれをバネにできたのだろう。2022/09/01
いよの缶詰め
7
女性で初めて、樹木医になった塚本こなみさんの物語。足利フラワーパークにある大藤を始め、彼女は色んな樹木に触れてきた。時には苦渋の選択を迫られる時もあった。木だけでなく、人にも寄り添おうとする塚本さんの姿勢や想いがひしひしと伝わってきて、涙が出た。印象に残った言葉が「自然を守ろうと言うのは傲慢」。今まで自然と共に生きて来た筈なのに、何時の間にか征服というような形にしか見えない。ギルガメシュ叙事詩のレバノン杉がなくなる話や青柳のはなしに登場するもの達は「利便性に洗脳された者は怪物でしかない」と語ってくる。2021/04/08
退院した雨巫女。
5
《私-図書館》【再読】テレビで、あしかがフラワーパークの大藤の夜間ライティングの秘密を見て、また読むことにしました。あしかがフラワーパークにまた行きたくなりました。2016/06/01