感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
39
「昆布を売るけど病気も売る」をモットーに精神障害を持つ人たちと「べてるの家」を立ち上げたソーシャルワーカーが、「教会とは何か」を語る。『クリスチャン新聞』連載に加筆。クリスチャンである向谷地さんが、初めてクリスチャン向けに書かれた、“日本の今の”キリスト教会の一面を垣間見ることのできる本。【真実をもった行いとは、私たちの無力を知り、本人の回復を信じ、神さまに委ねる思いによってはじめて成り立つということです。そこでは、元気を通り戻した当事者から「あなたのおかげで」と言われない慎ましさが大切になってきます】⇒2021/10/30
introduction
6
北海道「浦河べてるの家」を生み出した浦河伝道所の向谷地生良氏の本。礼拝に集う9割がなんらかの精神疾患を抱え、「当事者研究」という取り組みで教会を「精神障害を自分事として前向きに学び、予防と早期発見に努めている人たちが多く集まっている場所」にしたいと書かれていることに驚いた。教会に足を運んでも精神障害のなせる言動から出禁になる人もいると聞く。「弱さの情報公開」をしつつ試行錯誤の連続でこのような取り組みをしている教会が増えつつあると知って、教会の未来に希望を持った。2021/06/22
ころりん
5
他人事と思って読み始めて、無知を恥じてます。 「私は、”心を病む”ということは、私たちが大切なものを見失わないために与えられた”灯台”の明かりにも似ているような気がしています。つまり、信仰があれば病気にならないのではなく、信仰によって、病気も大切な意味のある有用な経験として生きていく力に変えられるということです。べてるでは、「病気の足を引っ張らないこと」を大切にしています。病気の症状は、その人自身と、場を回復-ありのままの生き方-に向かわせようとする身体の大切なサインであると考えるからです。」166-7頁2016/02/11
sayanu
3
精神疾患と宗教の関わりについて気になったので読んだ。教会の機関紙向けの連載をまとめたものなので、宗教があることは前提であった。書いてあることは他のべてるの家関連本とほとんど同じだが、目線が教会を運営する一般多数の人担っているので、その点で「どう受け入れるか」と言う話になっているのが読みどころだった。(宗教を持たない身としては)2018/08/06
newpapa
3
べてるの本は8冊目あたりだと思うが、今回は宗教の考え方が入り、他のホント少し趣がかわる。しかし中心的な視点は同じである。 精神障害を経験した人が牧師になれるかということに関して、私は考えさせられた。答えも出ていない。例えば、精神障害の精神科医。学習障害の教師。パニック障害の脳外科医。いろいろな経験をした人がなればいいではないかといえるが、その人から自分が治療や教えをうけるとなると、躊躇するだろう。もう少し考えないといけない。2017/06/11