内容説明
深海で光を放つ魚におのれを重ね合わせる「提灯タカシ」の思索の日々。そんな連れ合いを夜ごと「エイッ」とベッドに「放り投げる」雅代のあくびまじりの仕事納め―。前著『神様がくれた弱さとほほえみ』から10年。夫婦で綴る、ゆるやかに流れる日々の対話と祈り。
目次
朝の風景
数字の物語
幽霊
“雅代の視点”あくび
重なり合う物語
父の一言
“雅代の視点”おしゃれな帽子
野球観戦
深海魚のように
“雅代の視点”読む
ぼくの役割
顔の物語
雅代の視点 似て非なる者同士の対話
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koji Eguchi
5
不思議な縁で読むことになった。ALSの隆さんがとにかく明るいし前向き。雅代さんもすごく自然で肩に力が入っていない。もちろん介護は大変だし、でも私たちが気づかないことを教えてくれる。同情するなんておこがましい。今できることを精一杯やることでしあわせを感じることができる素晴らしさ。オンリーワン。でも凡人にはなかなかそう思えない。そりゃ不幸せになるしかないわな。止揚くんの成長がとても微笑ましい!2013/12/22
きゃしー
0
介護職員だった筆者がALSを発症し、介護される側になった。それによって見えてきた、現場の思い込みやベテラン介護者のメリットとデメリット、機械化の限界などが当事者目線で分かりやすく書かれていました。最近、セルフアドボカシーが提唱されていますが、「究極の他者依存」を論ずることができる受容性ってたくましいと思います。胃ろうをしていてもレストランに行きたくなる、笑顔を忘れて講演に立ったら「かわいそう」とクレームを付けられたので、鏡を見て表情チェックをするようになったなど、生き生きとしたエピソードに惹かれました。2018/09/17