内容説明
人間が生きるに必要なものは、決して大きい財産や土地ではありません。ロシアのある地方にむかしから伝わるお話。
著者等紹介
柳川茂[ヤナガワシゲル]
1950年、神奈川県に生まれる。日本放送作家協会会員。竜の子プロダクション企画文芸部を経て、現在フリーで絵本やアニメの創作・脚本家として活動中
小林豊[コバヤシユタカ]
1946年、東京都に生まれる。日本画家。1979年、日展発出品で入選。1983年、「上野の森美術館」特別優秀賞受賞。1970年代初めから80年代にかけ、中東・アジアをたびたび訪れる。その祈りの体験をもとにした絵本で多くの読者を魅了している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Nori Shamp
28
80歳の母の本棚から拝借。101歳の日野原先生の推薦文が帯についています。人間、欲が無ければ、向上心も生まれず進歩もありません。でも際限のない物欲が働き者の農夫の生活を一変させてしまいました。ちょっとした心の隙に悪魔が忍び込んでくる瞬間というものがあるのですね。その瞬間に気がつけばよかったのですが・・・欲にとらわれて一生を送るより、貧しくとも生き甲斐を持ち、心が豊かになるような一生を送りたいです。もう一生の半分以上きてしまいましたけどね(^^ゞ2013/01/20
魚京童!
21
死体が入る大きさだけあればいい。人の欲に限りはないけど、良くしたいと思わなければ世界は変わらない。変わらない世界で生きることもできるけど、それはそれで楽しくない。人生をどうとらえるか。何を成すか。彼は自分の力で追い求めていた。とても素晴らしい人生ではなかろうか。最後は足らなかったが、最後でよかった。そのあとずっとつらい思いをしないですんだ。ずっと追い求めていた人生だ。それこそが理想なのではなかろうか。2024/05/26
drago @名人戦堪能中。
19
つましいけど幸せに暮らしていた農夫が、悪魔に目をつけられ、欲望の虜となり、最後には命を落としてしまう。分相応が一番幸せである、という教訓譚。トルストイ原作ということで、なおさら味わい深く感じる絵本。☆☆☆★★2013/11/20
けんとまん1007
19
トルストイ原作というだけで、期待感が高まる。その期待にそぐわない1冊。足るを知るということ。もちろん、その”足る”をどのあたりに置くかという部分はある。夢、希望、欲望といろいろな言い方もあるが、その段階でおのずと結果がみえてくるのかもしれない。2013/02/28
みさどん
18
深い。子どもにはシニカルさがわかるだろうか?もっともっとと土地を欲しがる男、身の丈がわかれば幸せになれるのに、最後は相当な皮肉だな。トルストイだなんて!物欲がなくなってくる歳になると、よーくわかるもの。2019/02/08