内容説明
ほの暗い森。木々が鬱蒼と茂り、光りを通さない杳い森。一度入ったらさまようしかないほど広大な森。暗中模索してしまう不気味な森。五里霧中さながら見通しの立たない森。どこに通じているのか分からない、不思議な森。だからこそ、今となっては国の名前となった「ドイツ」という語は、当時どのような意味合いを持っていたのか。冥界へと通じているかもしれない冥い森。そして、ほのかに香る未知なるものに満ちた森。
目次
第1部 メルヒェンの森(『子どもと家庭のためのメルヒェン集』における森と人間;森の中の「動くもの」;森の中の「動かないもの」―「自然のもの」を中心に ほか)
第2部 伝説の森(『ドイツ伝説集』における森の描写;森の中の「異教的なもの」;森の中の「キリスト教的なもの」―世界観の移行をてがかりに ほか)
第3部 理念の森(「古のもの」、「自然なもの」と「詩的なもの」―『古いドイツの森』序文をてがかりに;樹木の生長と水の循環―自然のメタファーと「ニーベルンゲン的なもの」あるいは「土着のもの」;「南方のもの」と「北方のもの」、そして「ドイツ的なもの」―紀行文をてがかりに ほか)
エピローグ 『ドイツ神話学』における「聖なる森」についての考察
補足資料
著者等紹介
大野寿子[オオノヒサコ]
福岡県太宰府市出身。九州大学大学院文学研究科博士後期課程学位取得修了。博士(文学)。愛知教育大学教育学部専任講師を経て、東洋大学文学部准教授。専門は、ドイツ文学・民俗学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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