出版社内容情報
【目次】
プロローグ──並行世界
I──私は困っている
1 なにもしないでぼーっとしている人
(ここでちょっと一言)
2 グレーゾーンと地図
3 喘息──見た目ではわからない
4 助けを求める
5 眠い
6 「眠い」の続き
7 地味に困っていること
8 ADHDと薬
9 ワーキングメモリ、箱またはかばん
10 線が二本は難易度が高い
11 励ましの歌を歌ってください
12 さあやろうと思ってはいけない
13 助けてもらえないこと、助けようとする人がいること
II──他人の体はわからない
1 強迫症と『ドグラ・マグラ』
2 時間
3 靴の話
4 靴に続いて椅子問題
5 パクチーとアスパラガス
6 多様性とかダイバーシティみたいな
7 「普通」の文化
III──伝えることは難しい
1 そうは見えない
2 「迷子」ってどういう状況?
3 視力と不機嫌と客観性
4 ASDキャラとADHDキャラ
5 片づけられない女たち?
6 わからないこととわかること
7 毒にも薬にもなる
8 体の内側と外の連絡が悪い
9 奪われ、すり替えられてしまう言葉
10 気にするか、気にしないか
IV──世界は豊かで濃密だ
1 複数の時間、並行世界、現在の混沌
2 自分を超えられること
3 旅行できない
4 マルチタスクむしろなりがち
5 私と友達
6 向いている仕事
7 休みたい
エピローグ──日常
おわりに
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
msykst
11
「わからないこととわかること」という節が特に印象深かった。多分、自分は「わかる」という事がよくわかっていなくて、多分その事は大切にした方が良いのだけど、同時に自分は「これでわかった事にする」という有限化みたいなのも渇望してるかもしれない、とも思った。2024/05/28
もれ
2
ADHD当事者が書く日常の困っていること、薬の服用効果など。ADHDというのは診断でも下るものだが、当てはまるかどうかのゼロイチのものではない。色々考えさせられている。自分の関心はADHDの逆ベクトルを考えることかもしれない。定型発達者の困りごと、あるいは困らないことへの困りごと、などなど。労働と読書の関係と絡めて考えられそう。2024/05/28
文月煉
2
小説家、柴崎友香氏によるADHDの日常や思考を綴ったエッセイ。僕も著者と同じくADHDの診断を受けていて、共感する点も多い反面、違う点もたくさんあり、特に僕がものすごく苦手なのに著者はものすごく得意だ、と書いていることについてはいちいち反発を覚えてしまったりして、著者自身が本の中で書いているとおり「ときには、まったく別の考えの人以上に、拒絶反応が起こることもあるのだと思った」。 本を読んで真っ先に思ったことは「僕も自分なりの思いを綴った、こんな感じの本を書きたい」だった。チャレンジしてみようかな。2024/05/21
mori-ful
2
「なにが、どれくらい、大変なのか、困っているのか。本人は意外なほどわかっていないものだ。理由は簡単で、人間は自分の身体しか経験することができないからだ。自分ではない人の体に入ることはできない。自分の身体と感覚しか知らないので、他の身体と比較することはできない。」2024/05/19
sawa
1
ADHD当事者の抱く感慨の一例としても、柴崎作品の面白さの秘密に迫る内容としても、興味が尽きない一冊。特に『励ましの歌を歌ってください』の章は、思考の流れのとめどなさ・注釈の溢れ方が、ニコルソン・ベイカー『中二階』っぽくもあり面白かったです。2024/05/19