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出版社内容情報
保険収載から約10年。がんリハはここまで進化した!
がんリハ第一人者らによる実践書,待望の改訂版。各種がんについて,原発巣,症状,ライフステージに応じてその概要から実際のリハアプローチ方法にいたるまで,臨床のエキスパートがわかりやすく解説する。第2版では,症例/ケース紹介,訓練・手技等がみてすぐわかる「付録動画」を新たに33本収載し,さらに充実した内容に。がんリハに携わる全ての職種必携の一冊。
序
近年,悪性腫瘍(がん)は疾病対策上の最重要課題として対策が進められ,がんが“不治の病”であった時代から,“がんと共存”する時代に様相が変わりつつあります.がん患者にとっては,病としてのがんに対する不安に加え,がんの直接的影響や手術・薬物療法・放射線療法などによる「身体障害に対する不安」も同じように大きいものです.がん患者が,がんの経過に合わせた最適な治療やケアを受けるためには,さまざまな職種による,“多職種チーム医療”を展開し,治癒を目指した治療からQOLを重視したケアまで切れ目のない支援体制を確立していく必要があります.また,近年のめざましいがん医療の進歩とともに,障害の軽減,運動機能や生活機能の低下予防・改善,介護予防などを目的としたリハビリテーション診療の必要性は,今後さらに増していくと考えられます.
“がんのリハビリテーション診療”には,がん医療全般の知識が必要とされると同時に,運動麻痺,摂食嚥下障害,浮腫,呼吸障害,骨折,切断,精神心理など,がん患者に起こり得る障害や問題に対する高い専門的知識が要求されます.そこで,実践的な入門書として本書を企画し,第一線でがん医療やリハビリテーション医療に携わっておられる先生方にご執筆いただき,2011年に初版が刊行されました.おかげさまで多くの方々にご愛読いただき,2018年には韓国語版も刊行されました.
初版から10年が経過し,この間,がんのリハビリテーション医療は,医療行政や人材育成,学術面ともに,大きな発展を遂げてきました.そこで,第2版では,初版の内容を大きく刷新し,がん悪液質などの症状やライフステージに応じたトピックスを新たに章立てしました.また,新しい試みとして,動画による説明も導入し,より実践的な内容になるように工夫をしました.科学的なエビデンスに基づいたup-to-dateな内容を盛り込みつつ,執筆陣の豊富な臨床経験から培われた内容が満載されており,がん医療に携わる医師,看護師,薬剤師,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,管理栄養士,歯科衛生士,臨床心理士,介護福祉士,医療ソーシャルワーカーなどのメディカルスタッフの日々の臨床の入門書・実践書として,お役に立てるものと自負しています.
本書が,がん医療の質の向上に貢献し,がんサバイバーのQOL向上の一助となることを期待しています.
2021年8月
辻 哲也
【目次】
序章 悪性腫瘍(がん)のリハビリテーション診療――過去から未来へ
I がんのリハビリテーション診療総論
1 がんの基礎的理解
2 がんのリハビリテーション診療の概要
II がんのリハビリテーション診療の実際
原発巣別
1 脳腫瘍
1 脳腫瘍の特徴・診療・リハビリテーション診療の概要
2 リハビリテーションアプローチ
2 頭頚部がん
1 頭頚部がんの特徴・診療・リハビリテーション診療の概要
2 リハビリテーションアプローチ
3 肺がん
1 肺がんの特徴・診療・リハビリテーション診療の概要
2 リハビリテーションアプローチ
4 消化器がん
1 消化器がんの特徴・診療・リハビリテーション診療の概要
2 リハビリテーションアプローチ
5 乳がん
1 乳がんの特徴・診療・リハビリテーション診療の概要
2 リハビリテーションアプローチ
6 婦人科がん
1 婦人科がんの特徴・診療・リハビリテーション診療の概要
2 リハビリテーションアプローチ
7 泌尿器がん
1 泌尿器がんの特徴・診療・リハビリテーション診療の概要
2 リハビリテーションアプローチ
8 原発性骨・軟部腫瘍,脊髄腫瘍
1 原発性骨・軟部腫瘍,脊髄腫瘍の特徴・診療・リハビリテーション診療の概要
2 リハビリテーションアプローチ
9 造血器悪性腫瘍
1 造血器悪性腫瘍の特徴・診療・リハビリテーション診療の概要
2 リハビリテーションアプローチ
症状別
1 リンパ浮腫
1 リンパ浮腫の診断・発症予防・治療の概要
2 リンパ浮腫へのアプローチ
2 がん悪液質
1 がん悪液質の特徴・診療・リハビリテーション診療の概要
2 リハビリテーション診療(運動と栄養)
3 リハビリテーションアプローチ
3 転移性骨腫瘍
1 転移性骨腫瘍の特徴・診療・リハビリテーション診療の概要
2 リハビリテーションアプローチ
ライフステージ別
1 小児,AYA世代
1 特徴・診療・リハビリテーション診療の概要
2 リハビリテーションアプローチ
2 働く世代
1 特徴・診療・リハビリテーション診療の概要
2 リハビリテーションアプローチ
3 高齢者
1 特徴・診療・リハビリテーション診療の概要
2 リハビリテーションアプローチ
III 緩和ケア主体の時期のリハビリテーション診療
1 リハビリテーション診療の概要
2 がん疼痛
3 呼吸困難
4 精神心理的問題(こころのケア)
5 日常生活動作(ADL)障害
6 緩和ケアチーム・緩和ケア病棟におけるリハビリテーション療法士の役割
索引
正誤表