感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
88
41歳で脳梗塞となり「脳が壊れた」を著した鈴木大介氏が、「最貧困女子」で取材対象だった発達障害特性の人たちと「脳コワさん」として同じ立場である事に気付いた。高次脳機能障害は他人から見て一見障害が見えないことがやっかいであり、ジレンマがある。当事者として4年以上かけて立ち直り、どんな支援が大事であったかを言語化しているこの書はとても貴重である。その大事なことは、一言で言えば傾聴と共感なのだが、援助者に求められるのは、当事者への見えない苦しみに対する「想像力」なのです。2020/12/18
ネギっ子gen
53
「シリーズ・ケアをひらく」担当の白石正明さん、相変わらず目のつけどころが抜群。疾患ごとの〈違い〉に着目する医学+〈同じ〉困りごとに着目する当事者学=「楽になる」を支える実践的ガイド。日本医学ジャーナリスト協会賞大賞を受賞!その受賞理由に、<援助職に不足していること、当事者を不安に陥れ苦しめていることを率直に指摘しつつ、当事者が楽に生きていけるように、援助者が空回りしないで支えていけるように力を与えて/豊富なイラストレーション、重要な部分に黄色マーカーを引いていることも当事者が読みやすい工夫に>と。同感。⇒2021/04/11
たまきら
41
読み友さんの感想から。「脳がコワれた」著者による、当事者にしかわからない苦しみや体験に胸を打たれました。彼の「理解してほしい」という欲求がダイレクトに伝わってきます。壊れても、メンテできる。「言ってくれなきゃわからない」「なんで理解してくれないんだ」という双方の不満が、こういう人たちの言葉と今後のマニュアル作りのおかげで(こうすればいいのかもしれない)解消されていけばなあ…と思いました。What doesn't kill you makes you stronger! ニーチェです。2024/05/02
ばんだねいっぺい
37
ようやく、友達の理解にすこしは、近づけたのではないか。但し、当事者が苦しいのは、もちろんだが、援助者も「カサンドラ症候群」などあり、苦しい。援助する側も当事者が求めるのと同じように「ゆっくり」できたらよい。2022/07/03
読特
22
怪我をして部位の機能を知る。患って臓器の働きがわかる。もっと早くわかっていれば労わることも鍛えることもできていたかもしれない。それが脳だとするならば利点は大きい。 脳の病は他人から想像しにくい。どう感じるのかわかれば気持ちも通じる。病のときだけではない。人は完璧ではないし、浮き沈みもある。本書は「脳コワさん(脳に何らかのトラブルが生じている人)」がどう感じているか解説してくれるものだが、健康な人の心の中を覗く手助けにもなる。人間関係形成のためた新しい発見ができた思いだ。2020/09/01