出版社内容情報
昭和という時代に、町工場で油まみれになって働いていた父親。そんな「俺に似たひと」のために、仕事帰りにスーパーでとんかつを買い、肛門から便を掻き出し、「風呂はいいなあ」の言葉を聞きたくて入浴介助を続けた――。透徹した視線で父親を発見し、老人を発見し、さらには「衰退という価値」を発見していく“俺”の物語。医学書院ウェブサイト「かんかん!」で圧倒的な人気を誇った連載、待望の書籍化!
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はつばあば
57
この作家さん同学年のようです。この方はまだ自分達夫婦の身が安泰であることに安堵されてもいいかと。私も両親の介護は終わりましたが、次は私達二人のことが心配でこの本を手に取りました。老いに始まりの合図は無く・・と書いておられましたが当人たちにはわかっているのです。不安・・この先の死よりもその過程が不安なんです。施設ですか?在宅ですか?。娘達労働者に在宅希望はできません。せめて爺さんだけでも在宅でと思いますが・・。介護する者と介護を受ける者との違い。死を身近に感じる前にならなくちゃわからないものなのでしょうね2021/12/17
ひな
27
足のケガがキッカケで私たちの家に祖母を引き取り4…5年?たった。祖母に対して不満があるわけじゃない。それはきっとみんな同じ。だけど…自分では もぅ歩けない祖母と暮らす中で綺麗事では済まされないコトも たくさんある。ありがたいコトに今は せん妄も認知もなく たまに?なコトを言ったりはあっても まだ笑い飛ばせるレベル。それでも やはり介護する中で それぞれ余裕がなくなる瞬間があって揉めてる声を聞くと、逃げ場のない…やり場のない感情に苦しくなる。だけど…”老い” とは自分の行き先でもある。誰もが向かう道なのだ。2019/03/20
ruki5894
24
認知症の父親を在宅で介護している身で、興味があり手に取った。思想も生活環境も全く違う父と息子が、2人で暮らす。淡々とながれていく時間が、ありのままに綴られている。読んでいるこちらはラストを知っているが、実際の生活では当然ながらラストは知らされておらず今がどのくらいの地点なのかも不明だ。でも、介護の手引き書よりはすんなりと読めた。身に染みながら。2022/11/04
りつこ
15
老いるということは本当に希望のないことなのだなぁと思う。身体がどんどん衰えていって自分のことを自分でできなくなるのはどんなに辛いだろう。愚痴や恨みをこぼさず淡々と介護してくれる息子に父は何を思ったのだろうか。後悔もないしやりきったという満足感もないと作者は言うが、きちんと向き合ってその中で楽しみながら介護した姿勢は本当に素晴らしいと思う。辛い話だけど爽やかな読後感がある。2013/05/03
れんこ
14
『これから記述していくのは彼の「過去」である。それは彼の息子である俺がいずれは遭遇し、同じように躓き、同じように困惑しながら、乗り越えたり打ちのめされたりする「未来」の光景でもあるだろう。父親の老いの光景は、俺の老いの光景でもあるということだ。』 たぶんこれから親の介護もあるだろうし、自分の老後も近い。両方の立場で読んでいた。子供の成長も早いけれど、親の老いの速度も思っているより早いということは頭に入れておこうと思った。2016/06/25




