出版社内容情報
東京・世田谷のハーモニー(就労継続支援B型事業所)が、自分たちの幻聴妄想の実態をかるたにした。彼らの幻聴妄想の世界を知ることは、共存の意味を学ぶことである。解説冊子と、DVD『幻聴妄想かるたが生まれた場所』に加えて、女優の市原悦子さんによる『読み札音声』CDが付録になった豪華版。
内容については、東京都人権啓発センターのサイトもご参照ください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
梟をめぐる読書
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「おとうとを犬にしてしまった」「とつ然雨が降ってきてそしたら周りの町が消えていった」「みな殺しにされる日が特定され逃げ回ったがまだ生きている」。いやすごい。かるたの読み札を通して知る、リアル強迫観念の数々。もちろん読み札のそれぞれには作者にとっての過酷で切実な生の体験が反映されているにはちがいないのだが、それにしてもこの物語性の豊かさはどうであろうか。一枚一枚の札から連想される物語を読み取るも良し、複数の札の合間から浮かび上がる共通の作者の顔を想像するも良し。この試みは、もっと多くの人に知られて欲しい。2013/03/24
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
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就労支援施設ハーモニーの利用者さんたちが自らの体験をカルタにしたもの。市原悦子さんの読み札音声CDとカルタ誕生の舞台裏紹介のDVDがセットという豪華盤。コロナが治ったら人を集めてやりたいなあ。解説冊子の最後を締め括る言葉、「ジブンタチハ キケンデハナイト ヨノナカノヒトニ ワカッテモラエナイカナ」。2022/02/04