内容説明
農村から都会へと、大量に人口が流出した昭和30年代の高度経済成長期、村に残った若者たちの苦悩とその未来を描いた本書は、現在も全く色褪せず、我々の人生に光を灯してくれる。
目次
第1章 村にのこる若者の苦悶
第2章 せまい世界の余り者
第3章 二、三男のあたらしい世界
第4章 流離する若者たち
第5章 若者の古い組織
第6章 青年の位置の確立へ
第7章 明日への道
著者等紹介
宮本常一[ミヤモトツネイチ]
民俗学者。1907(明治40)年、山口県東和町に生まれる。大阪の天王寺師範学校卒業後、小学校教員となる。渋沢敬三に師事し、アチックミューゼアム研究員として全国各地の民俗調査に従事する。離島調査、離島振興にも尽力し、全国離島振興協議会初代幹事長を務める。1965(昭和40)年に武蔵野美術大学教授となり、日本観光文化研究所所長、武蔵野美術大学名誉教授、全国離島振興協議会顧問を歴任。1981(昭和56)年永眠する
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感想・レビュー
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きいち
34
昭和30年代の村の若者たち、つまり今の7~80代の方々の送った青春。貧しさに甘んじるしかなかった環境から、戦争を経ることで外れた階層と伝統の箍(前半でその功罪もしっかり語られる)、国の補助が専ら都市と工業にそそがれ、保証もないなかで新しい農業経営へと乗り出していく。失敗もある、挫折もある、決して大成功だった訳じゃない、でも今の田舎がちゃんと質的にそれまでとは異なる生活を送れているのは、確実にこの人たちの力。課題よりも建設を語りひとを行動へいざなうオーガナイザー宮本ならではの筆。今の我々にも向けられている。2015/11/30
なにょう
13
★農村の若者の歴史を説明。前半から中盤はとても興味深い。後半は現状(昭和40年頃)を紹介している。少々、冗長で飛ばし読む。★前半の旧来の農村の生活は面白かった。そもそも農村は人口増加の阻止に苦心してきた。間引きさえ行われた。そして、昔のこういった考えが実は今も生きていて人々は無暗に子孫を残さない、と考えるととても納得がいく。先祖の行動パターンってけっこう引きずっているものだ。★旧来、学校に行く若者にのみ光が当てられ、そこから零れ落ちた者は報われなかった。著者はそういう人々に光をあてようとしている。2015/11/01
Quijimna
3
民俗学者・宮本常一が高度成長の中で変容する各地の農村の若者を丁寧に追ったドキュメンタリーとしても面白い。一見前近代的な若者組などの習慣を、手放しの賛美だけでなく冷静に分析・描写する視点。わずか40年ほど前まで、地方はこんなに魅力的でピチピチとしていたのか。「地方に芸術が育ち、成長していくようにならなければ」との言葉は、大合併後の沈黙の中では遅すぎた警句としか聞こえないが。★★★★☆2011/04/05




