内容説明
1980年代に華南地域を中心に展開した中国の対外開放政策は、90年代に入り市場経済への転換が加速するとともに、中国最大の経済都市である上海へ、その重点を移しつつある。ナショナルプロジェクトとして推進されつつある上海浦東地区開発計画は、巨大な資源と市場を有する長江流域を国際経済とリンクすることで、中国の経済的景観に大きな転換をもたらす可能性をもつ。本書は国内外の資料を駆使し、上海をはじめ長江流域の経済発展の実態を描き出す。さらに、中国経済の市場化・国際化の下での地域経済構造の再編成の行方を展望する。
目次
第1部 総論(1990年代の地域経済圏の発展方向;中国の地域開発戦略の課題)
第2部 長江デルタ地域経済開発の現状と課題(上海浦東新区開発の現状と位置づけ;上海発展の軌跡と開発戦略;江蘇・浙江の経済成長と発展モデル)
第3部 内陸開発の課題(内陸開発論の系譜;内陸農業開発の方向;郷鎮企業の成長と中部経済開発;西南地域の経済開発)