内容説明
本書は平成11年度アジア経済研究所開発研究部研究会「通貨危機と途上国/危機の防止と処方箋」の1年間の研究成果をとりまとめたもので、平成10年度研究会の成果として既に出版されている『アジア通貨危機―その原因と対応の問題点』の姉妹編としても位置づけられるものである。『アジア通貨危機』では、主にマクロ経済学的な観点から、国際資本移動にともなう問題や金融自由化による経済の不安定化、高金利政策などIMF政策の問題点などを分析対象としたが、こうしたマクロ的な観点とは別に、アジア通貨危機後に残された大きな課題は、金融機関の経営再建や不良債権問題の解決といったミクロの金融問題である。そこで、本書ではこうした課題を「金融と企業の再構築」というキーワードでまとめ、理論面での考察やアジア諸国の経験からのケーススタディを行った。
目次
第1部 総論編(東アジアの金融と企業の再構築;アジア危機回復過程における金融メカニズム)
第2部 理論編(最適資本構成と最適破綻処理の考え方;アジア通貨危機と企業債務の再構築―エージェンジー・コスト・アプローチによる分析)
第3部 各国編(タイにおける企業金融構造と金融危機;マレーシアの金融危機への対応;インドネシアの銀行・企業再構築;韓国における金融・企業再構築;ベトナムにおける不良債権問題―アドホックな措置と構造改革;中国における企業再構築―四川省国有小型企業の事例)